51 新たな変人(?)現るw
「いやあ、なんにしろクラスの団結が固いのはいいことだわ。んじゃあ、新田君、悪いんだけど剣汰瓜さんを保健室に連れて行って」
はい。鵜鷺先生に僕は返事する。まあ、ここは展開的に僕だよね。はい、分かっております。
行くよエリス。僕がそう声をかけるとエリスは右手で僕の左手をつかむ。おおうっ。
しかし、ここで動揺してはいけない。何事もなかったように保健室へと。
◇◇◇
♪たんたかたーん たんたかたーん
ぬおっ、サダヨシ。不意に歌いだしおって。しかもその曲は?
♪たんたかたーんたかたんたかたーん
うわっ、クラスの女の子たちが唱和し始めた。こっ、この曲はっ!
フェリックス・メンデルスゾーン作曲「夏の夜の夢」の中の一曲「結婚行進曲」!
あんまりベタ過ぎて、かえって実際の披露宴では使われていないというアレ。
鵜鷺先生、もはや呆れ顔。
「だからクラスの団結が固いのはいいことだけど。剣汰瓜さんたちが教室を出るまでね。出たら今度こそ本当にホームルーム始めるよ」
「「「「「はーい」」」」」
返事はいいんだけど、すぐその後に「結婚行進曲」再開するし。
とにかく一刻も早くこの場を離れるしかないね。
エリスを連れて廊下に出た僕はふうと一息。そこでおもむろにクラスの扉が開く。わっ。
「あ、新田君。保健室のねこや先生。見てくれやキャラがちょっと……いや、かなり変わってるけど、根は優しくて、面倒見がいいから。あたしのこのガッコの同級生なんだけどさ」
鵜鷺先生、最後にえらい情報を教えてくれましたね。また変人が出てくるんですか?
◇◇◇
緊張感をもって、保健室の扉をノックする。
「どうぞ~」
明るい女性の声だなあ。ここは意を決して扉を開ける。失礼します。
!
初手から驚きました。保健室の先生には猫耳がついております。うちのガッコ、異星から来たエリスたちだけじゃなくて、異世界から来た獣人もいらっしゃるのですね。知りませんでした。いやしかし……
猫耳、兎耳の獣人は人間の耳に当たるところは髪の毛で隠されていたりするのですが、保健室の先生、バッチリ人間の耳もございますね。つまり耳が四つあるということですか?
「どうしたのかな? 見たところ新入生だね。緊張しているのかな? 何でも言ってごらん。相談に乗るから。あ、ごめんね。あたしは養護教諭の猫屋新杏だよ。よろしくね」
優しそうないい先生ですね。事実いい先生なのでしょう。心を開きたいのですが、その猫耳をどう解釈したものでしょうか。




