47 君こそが真の「〇〇〇やまとなでしこ」だっ!w
「おっ、男がみんな持っているという『金塊』がほしい?」
サダヨシの顔は真っ赤。そりゃそうだよね。十五歳の少年にこの発言は刺激が強すぎ。
「そうだ。あたしは『金塊』がほしいのだっ!」
絵栗鼠は堂々としたもの。まあ、ほしがっているのは比喩としての「金塊」ではなく、本物の「金塊」なんだからある意味当然ではあるんだけど。
「こっ、これは驚いた」
今度は顔が青くなるサダヨシ。
「剣汰瓜絵栗鼠ちゃん。風呂岸間中学出身。てっきり『地味な文学少女系』と認識していた彼女がここまでの『肉食系』だったとは。この本堂貞義。一生の不覚」
「そんな失礼な。あたしは肉も好きだが、ちゃんと何でも食べるぞ。皇女として好き嫌いなく何でも食べられるよう鍛えられたのだっ!」
「いやそういう意味じゃなくてね。えーと。そのーもじもじ、絵栗鼠ちゃんは『金塊』がそんなに好きなの」
「好きと言うか、ほしいっ! あたしは『金塊』がほしいのだっ!」
またも真っ赤になるサダヨシ。
いや、僕もこの会話を止めた方がいいというのは重々分かってはいる。
だけど、これは止め方が非常に難しい。止め方を間違えると取り返しのつかない致命傷になる気がする。
うーむ、僕の手のひらが汗ばんでいる。緊張しているのだ。
そして、サダヨシの奴も緊張している。真っ赤な顔して口をパクパクさせている。
◇◇◇
「じゃじゃじゃ、じゃあさあ」
サダヨシ、赤面しながらも再度口を開く。
「絵栗鼠ちゃん。僕の『金塊』ほしくない? 僕は絵栗鼠ちゃんならあげてもいいかな……と」
うわっ、そう来たかサダヨシ。頭の中ではチェリーボーイが初体験にGO! なんだろうなあ。はあーっ、どうするっぺ。
「断るっ!」
仁王立ちで、ない胸を張るエリス。
「ガーーン」
膝から崩れ落ちるサダヨシ。無念! チェリーボーイ!
「あたしは老谷のばあちゃんから教わったのだっ! 『金塊』を手に入れるには『結婚』するか、何回もスリスリに励み、『恋人』にならねばならんのだっ! そうでないのに『金塊』を手に入れようとすると、おまわりさんが来るのだっ!」
「ガーーン」
膝をついたまま更に衝撃を受けるサダヨシ。しかし、すぐに顔を上げた。あ、何か血の涙を流しているぞ。大丈夫か? サダヨシッ?
「おっ、俺は猛烈に感動している。剣汰瓜絵栗鼠ちゃん。君は素晴らしい。この本堂貞義。今年の新入生の中でこれだけの逸材を見落としていたとは、何たる不覚。君こそが真の『肉食系やまとなでしこ』だっ! 君の前では『合法ロリ』も『エッチな聖女ちゃん』も霞んでしまうっ!」
そりゃまあエリスは一般の人間には黒髪ロングの眼鏡っ娘に見えるからねえ。しかし、どうなるんだ。この展開?




