表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリス・ザ・ファースト~おかしな建国皇女とおかしな周囲の人たちの日常コメディ~  作者: 水渕成分


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/191

44 オキムネ父もまた「剛の者」w

 ただいまー。


 僕は自分の家に帰って来た。たった一日しか経っていないのに物凄い久しぶりという感じがする。何にしても疲れた。


「おかえりー」

 満面の笑顔の母さん。しかし、すぐに渋い顔になる。

「なにー、オキムネ一人(ひとり)ーっ? 絵栗鼠(えりす)ちゃんはどうしたのよ?」


 実の息子が一人で帰ってきて、露骨に渋い顔するって何よ。絵栗鼠(えりす)なら老谷(おいたに)さん()で寝るよ。だってあそこに住むことになったんだから。


「そういうことか。じゃあオキムネも老谷(おいたに)さん()で寝るのね。いやー急いでドラッグストアに行って買ってきてよかった。持って行きな。新商品だって」


 母さんが取り出したのは避妊具一箱。ホンットーに嫌になるくらい予測とおりの展開ですね。


 ◇◇◇


 いえ、もう僕は老谷(おいたに)さんたちにはおいとましてきましたから。自分の部屋で寝ます。


「何っ! 彼女を放って来たの。このヘタレ」


 十五歳の自分の息子に性行為を奨励する母親ってなんなの。それに絵栗鼠(えりす)は僕の彼女じゃありません。


「…… まあ母親にそういうことを隠す気持ちも分からなくはないが、母親の目を舐めるな。おとーさーん。あなたとあたしの息子は十五歳にして初彼女が出来ましたー!」


「何だとー」

 ビール瓶片手に赤ら顔で姿を現す父さん。これはこれで出来上がってますね。ふうっー。

「十五歳で彼女が出来るとは『オキムネのくせに生意気だ』」


「えー、お父さんがあたしを口説いたのも高校生の時じゃない」


「いや、あれは俺が高二で十六歳。母さんが高一で十五歳だった。十五歳で彼女が出来るとは『オキムネのくせに生意気だ』。大事なことなので二度言いました」


 何なのと思われると思いますが、これが我が家の実情です。我が家は「夫婦漫才の芸人」ではありません。専業農家です。


「そう言えばそうだったね。オキムネの手の早さはお父さんの上を行ったってことね」


「こうしてはおられん。オキムネに後れを取った以上、これから愛をとりもどさねば。クリスタルキングもそう言っている。行くぞっ! 母さんっ!」


「わーい。行くっ! 行くっ!」


 そう言うが早いか、父さんと母さんは別室に消えて行った。


 夫婦仲が良くて何よりです。避妊具無駄にならなくてよかったね。


 ◇◇◇


 ふうっ、やっと寝られる。二階の自分の部屋に戻った僕は一息ついた。


 しかしっ! 寝付けなかった。


 いえ、自分の両親のことはどーでもいーんですよ。昔からあの調子だし。


 寝付けない原因。それは絵栗鼠(えりす)の柔らかさだ。明日もスリスリするって言ってたしなあ。


 でも勘違いしちゃいけない。絵栗鼠(えりす)は別に僕のことが好きなわけじゃないのだ。建国資金としての「金塊」を僕が持っていると思い込んでいるだけで。


 かと言って嫌われているわけでもないよなあ。いくら老谷(おいたに)のばあちゃんにけしかけられたと言っても、嫌いな相手にスリスリはしないと思う。


 うーん。悶々とする。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最新話まで拝読しました。 テンポがあっていいですね! 登場人物もそれぞれキャラが個性的ですし、 何と言ってもオキムネの心の声が面白いです(*^^*)
[一言] 年の離れた弟か妹ができちゃう!ww
[良い点] やっぱり面白いです( *´艸`) オキムネの父母も濃いですねw エリスちゃんの柔らかさは罪だー!
2023/01/08 11:39 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ