37 ばあちゃんは「修理」エリスは「改造」w
まあとにかく、母さんの許可も取れたんで、みんなして老谷家に向かうことになった。
玄関開けて中入ったら開口一番じいちゃん。
「さて飲むか。酒出せ酒出せ。飲むぞ。イケメンズッ!」
「ちょっと待ちな」
ばあちゃん、じいちゃんの首根っこ掴むと、その場で正座。
「楽しくやりたいけど、けじめは事前にとっておかないとね。家賃のこととかね」
さすがばあちゃん。ここで言ってくれて助かるわ。じいちゃんだとノリで突っ走しっちゃいそうだからなあ。
「オキムネ。家賃とは何だ?」
昨日の晩話したことをもう忘れたのか? ここの家は老谷さんのものだから使用料を払わなかければならないんだよ。
「え? この家は地球ケンタウリ帝国が占領したのではないのか?」
昨日も言ったでしょ。それ言うとおまわりさん来るよ。
「そっ、そうだったあ。『おまわりさん来ないで料』だったのだな。わわわ、分かった」
ふいいい。また何とか納得させたか。
◇◇◇
「電気・水道・ガスは使った分だけ絵栗鼠ちゃんに払ってもらうのでいいよね。後ね、私らもいい齢だから壊れたところが出たら、そっちで直してくれる? 自由にやっちゃっていいから」
「何? 自由に改造していいのか? ばあちゃん」
「ああもう、私らも齢で修理とかもうあんまし出来ないからね。そっちで費用負担してくれるんなら自由にやっていいよ」
キラリーン
絵栗鼠の目が光る。これは多分、ばあちゃんの考える「修理」と絵栗鼠の言う「改造」は凄い認識の違いがあるな。でも、今の絵栗鼠は金持ってないから大したことは出来ないとは思うが……
◇◇◇
「で家賃なんだけど、この家ももう築五十年過ぎてる平屋だし、ここは田舎だし、だけど無料ってわけにもいかないから月一万円でどうかな?」
うーん、僕も高校生だし不動産のことはよく分からないけど、田舎の古い平屋と言っても、キッチンとバスルームしっかりついてるし、トイレも水洗だし、かなり安くしてもらったんじゃないかな。これは。
「一万円……」
何故か緊張している表情の絵栗鼠。ううむ。やっぱ今は実質全然金持ってないからな。一万円でもきついのかな。
「縄文時代……」
ちょっと待て。それは「一万円」ではなく、「一万年前」。
「東京からシカゴの距離……」
それは一万km。
「十トン……」
それは一万kg。
「鎌倉幕府二代将軍源頼家の長子……」
それは一幡。いつもながら何でそういうことだけ知ってる?
「えーと。後、『一万』と言えば……」
何でボケ探しになってるのだ?




