28 ノクターンとムーンは十八歳になってからですw
「あなたたちきっと売れますよ。だってこんなにかっこいいんだもの。そうだっ! サインください」
「おうよ。二人ともサインしてやれ」
もうじいちゃん仕切っちゃって、あれ? 何か周りが急に暗くなって……
チカチカチカチカ
わあっ、Rー1号がピンク色に発光しだした。
♪ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん ちゃ~ちゃらら~ららら~
Rー2号はまた「タブー」流し出すし。
「キャー」
「なになになにー」
「えっちー」
三年生のお姉さんたち顔を手のひらで覆うふりして、指のすき間から見るのやめてください。
「何だ何だ」
わー、わらわら人が集まって来た。
「いけません。アレは子どもが見ちゃいけないものです」
「わーん。見たいー! 見たいー!」
「いけません。ノクターンとムーンは十八歳になってからです」
いかん。止めねば。しかし、あの行動は何だ? 「サインしてやれ」が何でああなる? 考えろ考えろ。何が適切なツッコミだ? あ!
◇◇◇
つかつかつか
僕は派手に発光するRー1号の胸部に右手の甲でツッコミを入れた。
それは「サイン」じゃなくて「ネオンサイン」
ガラガラガラ ズコー
周囲の人たちは一斉にズッコケた。
◇◇◇
「オキムネ。『サイン』ッテ何ヲヤレバイイノダ?」
ほら、三年生のお姉さんたちが手帳とペンを用意して待ってるでしょ。あれに名前を書いてあげればいいの。
「何? コレガカノ有名な名前ヲ書クト悪魔ニ魂ヲ取ラレルッテヤツカ?」
「イヤイヤ、全財産巻キ上ゲラレテ、奴隷堕チスルンダロウ」
だから、何でそういう知識だけあるの? 契約書じゃなくて、ただ名前を書くだけだから大丈夫だって。
「エート。ココニ名前書ケバイイノカ?」
「お願いしまーす」
これが始まるまでの大波乱に比べると、あっさりとRー1号もRー2号も書いたなあ。
って言うか何? その文字。下手くそとかそういうレベルじゃなくて、そもそも文字なの? 何て書いてあるの? それ?
「凄いサイン。失礼ですが何て読むんですか?」
あ、僕より先に三年生のお姉さんたちが聞いてくれた。
「Rー1号」
「Rー2号」
「ふふふ。面白い名前。まるでロボットみたいな名前ですね」
いや、ロボットじゃなくてアンドロイドなんだけどね。
◇◇◇
「お姉ちゃんたち、大ラッキーよ。ベテランプロデューサーのおいちゃんには分かる。Rー1号もRー2号も東京キー局地上波ゴールデンタイムに出ずっぱりになるから。そのサイン、高く売れるようになるよー」
「いえいえいえ」
「絶対売りませんよ」
「家宝にします」
「凄いラッキーありがとうございます」
じいちゃあん。ネオンサイン騒動の時はどこに隠れていたの? 都合が良い時だけ出てくるんだから、もう。
「おーい、オキムネー」
あ、絵栗鼠が呼んでる。こいつはこいつで自分の部下二人が大騒動起こしても、全く動ぜず買い物続けてたんだよなあ。




