26 二つ名はサメの牙(シャークファング)か?w
「要するに絵栗鼠ちゃんたちは、うちのじいちゃんと同じ人種なんだね」
老谷のばあちゃん。絵栗鼠たちはじいじゃんと同じ厨二と思ったのね。これは好都合。このまま行ければ。
「違うぞ。老谷のばあちゃん。あたしはホントに皇帝……」
「はいはいはいはい。面白い子だねえ。まるで本当の孫みたいにじいちゃんと言うことがそっくりだ。そうだっ! 今日はいい機会だから、あたしとじいちゃんも久々に家に帰って、絵栗鼠ちゃんたちの歓迎会をやろうっ!」
「歓迎会? 歓迎会って、酒飲んで裸踊りするあれか?」
「こらこら。絵栗鼠ちゃん。未成年がお酒飲んじゃ駄目でしょ。でも、そっちのお兄さんたちはいけるのかな?」
「ばあちゃん。ばあちゃん。おいちゃんも飲めるぞ」
「じいちゃんはほどほどにしとき。ようしっ! そこのスーパーで買い物だっ!」
◇◇◇
「おおうっ!」
スーパーに入るやいなや感嘆の声を上げる絵栗鼠。
「ばあちゃん。これが地球の市場か。なかなか凄いじゃないか」
「ふふふ。絵栗鼠ちゃんの田舎にはスーパーはなかった?」
「庶民の市場は知らないんだ。必要なものは業者が王宮に届けてくれたからな」
「おやおや田舎でスーパーがないもんで、専ら宅配を使ってたのかい」
絵栗鼠とばあちゃんの会話は微妙にずれているが、二人ともそれに違和感は感じていないらしい。
だけど綱渡りみたいな会話だなあ。
「おや。今日はシジミが安いよ。じいちゃんは飲兵衛だし、そっちのお兄さん二人もいい体格してるから飲みそうだね。肝臓のためにシジミの味噌汁作ってやるよ」
「わっ、何だ? ばあちゃん、いきなり武器を買うのか?」
「え? 武器?」
「この黒い石。武器だろ? ニンジャが石つぶてに使うやつ」
ばあちゃんの思考は宇宙空間に飛んだらしい。分かる。僕も最初はそうだった。
やがてばあちゃんはまた顔を真っ赤に爆笑しだした。
「ははは。やだね。駄目だよ。絵栗鼠ちゃん。食べ物をおもちゃにしちゃあ」
「何? 食べ物? ばあちゃん、この固そうなやつを食うのか。凄い歯が丈夫なんだな。ばあちゃんの二つ名は『サメの牙』か?」
「あはははは。おかしい。絵栗鼠ちゃんの厨二はじいちゃん以上だねえ」
絵栗鼠は大真面目に言ってるんだけど、ばあちゃんは厨二と思い込んでるんだよな。本物の異星人だと気付いたらどうなるんだろ。うーん。ヒヤヒヤもんだなあ。
◇◇◇
「キャーッ」
後方で黄色い悲鳴が上がる。何だ何だ?
「あの、日本語分かります?」
「お兄さんたち、モデルさんですか?」
「どこかの雑誌とかに出てませんか? 買います」
「サインもらえませんか?」
あ、メタルヒーローズが女子高生に囲まれてる。こいつらもいたんだった。ああ、頭痛が痛い。




