25 それが一般人の反応ですw
「そしてオキムネちゃん。このかっこいいお兄さん二人は?」
ああ、絵栗鼠の従兄弟なんだけど、ヨーロッパとのハーフなんだ。ずっとヨーロッパで生活してて、やっぱり日本のこと自体よく分からないみたいなんだよ。
「おや。そうなの」
しきりと頷く老谷のばあちゃん。
「御両親とかは?」
いるんだけどなにぶん遠くてそうそう一緒に来られないみたいね。
「それでお兄さんたちは何しに日本へ?」
うん。日本の文化を学びに。
「そうなの。日本へようこそ」
ふうっ、我ながらうまくごまかしたぞ。老谷のばあちゃんはいい人だから心が痛むけど、これも方便。
「さっきから何を言ってるんだ? オキムネッ!」
◇◇◇
うわっ、出て来たなっ! 絵栗鼠っ! 腹芸、空気を読む、察するといったことが一切出来ないんだよな。頼むから、余計なことあんまり言わないでくれよ。
「老谷のばあちゃん。あたしは元ケンタウリ帝国の第五皇女にして、初代地球ケンタウリ帝国皇帝エリス一世なのだっ! そして、こっちの二人はあたしがケンタウリ帝国から連れて来た護衛用アンドロイドRー1号とR-2号なのだっ! さっきからオキムネがわけの分からんこと言ってるが、ケンタウリ帝国は地球より大都会なのだっ! そして、Rー1号とR-2号はヨーロピアンではなく、アンドロイドなのだっ!」
一気に捲し立てると仁王立ちになる絵栗鼠。
♪ちゃらら~ ちゃらら~ら~ら~
水〇黄門の印籠出す時のBGMを流し出すメタルヒーローズ。
あーあ、一挙に出してくれちゃったねえ。どう収拾つけようこの始末。下手すりゃ家貸してもらえなくなるよ。ああ、頭痛が痛い。
あっけに取られて固まっている老谷のばあちゃん。そうでしょうそうでしょう。それが一般人の反応です。
◇◇◇
「わっはっは。絵栗鼠ちゃんは皇帝かあ。おいちゃんはね。若い頃トラックに撥ねられて十年くらい寝てたんだけど、その間、異世界に行っていたのだっ! だから、おいちゃんは魔法が使えるし、異世界では女の子たちにモテモテだったのだっ!」
何と重苦しい沈黙を打ち破ったのは老谷のじいちゃん。さすが一般人とは一線を画しているだけあって、あっけになど取られていないっ! しかしっ! それもアニメネタだっ!
しばらく沈黙していた老谷のばあちゃん。まずいなあ。怒らせちゃったんじゃあないだろうな。あ、顔がどんどん赤くなってきた。ひょっとして怒られる?
「ぷっぷっぷっ ぶわーっはっはっはっ おっかしいの」
何と老谷のばあちゃん。大爆笑。何が起こったの?
 




