184 とっとと帰らないと、百合漫画同人誌の登場人物にするよw
「なっなっなっ、何を言われる。こちょこちょ先生」
天下御免の厨二と言えど、自分参加のBLには焦りますか。三太さん。「校長先生」を「こちょこちょ先生」って、エリスの口癖が伝染してますよ。
「わしにとってR-2号は『不肖の弟子』ですぢゃ」
「ふっ」
そんな三太さんの回答にニヒルに笑う校長先生。
「『師弟愛』。それもまた強く、気高い愛」
「「♪愛。愛。愛。愛はたくさん。男女間ばかりが愛じゃない~」」
うわっ、校長先生だけじゃなく、鵜鷺先生まで歌い出した。鵜鷺先生、この学校ではまともな方なんだけど、BLが出てくると暴走するところがあるんだよね。
「「♪例え男と男であれど~ 『師弟愛』。それは崇高。別に『師弟愛』でなくても~
『BL』~ それは素晴らしい~」」
結局、行き着く先は「BL」なんですね。
「「♪そ・れ・は・す・ば・ら・し・い~」」
オオーッパチパチパチ
突如発生したミュージカルに女生徒のみなさまは拍手。しかし、すぐ飽きて撒水するR-2号の追っかけを再開。うちの学校、一時的に受けても、それを続けるのが難しいって、何かこれ芸人みたい。
「結局、あたしがアールニゴウさんとあたしが『推しカプ』の話はどうなったの?」
今度は、ねこや先生から苦情が。そうですよね。僕にしたって腹くくって「推しカプ イエーイ」まで持っていったのは何だったのかと。最後は結局「BL」ですかあ。
「まあまあまあまあ」
鎮めにかかる校長先生。
「『推しカプ』はそれ。『BL』はこれ。愛はみんな素晴らしいーって言うかあ」
息を溜める校長先生。
「もう、帰りなさーい。下校時間でーす。ねこや先生もアールニゴウさんも勤務時間終了でーす。特に女生徒のみんなー。とっとと帰らないとうちの旦那呼んできて、百合漫画同人誌の登場人物にするよー」
「「「「「キャーッ」」」」」
何とも楽しそうな悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように帰って行く女生徒のみなさん。そう言えば校長先生はBL同人漫画家だけど、旦那様はこの町の教育長にして、百合同人漫画家でしたね。
と言うか、初めから僕なんかに「推しカプ イエーイ」をやらせるより、こうやれば良かったんじゃあ。
「そこはやはり『様式美』ってやつよ。新田君」
不敵に笑う校長先生。すみません。その「様式美」って僕にはどうにも理解できませんが。
「そうそう。新田君に剣汰瓜さん。もう下校時間でしょう。今日は犬咲がやっている下総屋にアルバイトに行ってやって。昨日は行けなくて犬咲寂しがっていたから」
そう言えばそんな話もありましたね。鵜鷺先生。みょーなことが続くもんで忘れてました。
「あ、剣汰瓜さん。奇行はほどほどにね」
いえ、鵜鷺先生。さっき校長先生と一緒にミュージカル風BLソングを歌っていた方に言われても説得力というものが……
 




