181 少年。「SF」は厨二の必修科目だろうがw
「ふむ」
三太さんは、R-2号の左肩の上で「考える人」のポーズ。うん。考えてらっしゃるのでしょう。しょうもないことを。
「君、名前は?」
「私、ヒデミ」
次の瞬間、 三太さんはR-2号の左肩の上でのけぞっだ。
「ヒデミ!? ヒデミだとっ!」
「うんそうだよ。お父さんが昭和アイドルの石川秀美さんからつけたの」
三太さん、感無量の表情。何なんですか? もう。
「ふっ、君のお父さんとは一晩飲んで語り明かしたいな」
何を渋い大人ぶっているんですか? 三太さん。要は昭和アイドルオタクなんでしょう。
「ふむ。石川秀美様とならば仕方あるまい。全く薬丸裕英とできちゃった婚をしたあげく、五人も子ども作って……」
三太さん、今の若者には分からない話題はその辺で勘弁してやって、秀美さんの質問に答えてあげてください。R-2号の水はどこから持ってきているんですか。
「あー、それならなー。アールニゴウは大気中の水素を吸って、それを体内で燃やして水にしているんぢゃ」
ぶっ、さすがにそれはもう「奇術」の範囲を超えていますよね。三太さん、よく冷静に言えますね。
「何を言うか、少年。『SF』は厨二の必修科目だろうが。見よ。少女たちを」
「キャー素敵―っ!」
「大気中の水素を酸素と化合して水を作るなんてかっこよすぎ」
「地球にやさしい水素エネルギーなのね」
え、えーと。いやまあそうなんですけどね。みなさんがそれでいいと言うのなら。ま、いいか。
あれでも何かひっかかるな。大気中の水素を酸素と化合して水を作る? 地球にやさしい水素エネルギー?
「新田君。もうこの際、水の作り方はいいから。アールニゴウさんが女生徒に囲まれている状況を何とかしなさい」
◇◇◇
ねこや先生、そうでした。しかし、現実問題、R-2号はやっていることは妙なことや面白いことばっかですが、見てくれはかっこいい金髪碧眼筋肉質青年なのです。女生徒のみなさまに騒ぐなと言うのは難しいかと。
「それでもっ! それでもっ! アールニゴウさんは私の婚約者なのっ!」
シーン
それまでキャッキャキャッキャ言っていた女生徒のみなさまが一気に静まりかえりましたぞ。やっぱ僕なんぞがあれこれ言うより、ねこや先生がガツンと言った方が効果がありますよ。
続く沈黙。そんな沈黙を破るのはやはりこの人の厨二魂だった。
「ふっふっふ。ねこや先生。我が不肖の弟子を婿にほしいと申されるか。ならばこれから言う七つの試練を乗り越え「「「「「キャーッ!!」」」」」
「みんなみんな聞いた? 今の?」
「凄い。人前でする告白って初めて聞いた」
「だいたーん。でもかっこいいかも」
「この学校入ってよかったー」
「こんなものが聞けるなんて、いい冥土の土産ができたわ」
自分で言っときながら呆然とするねこや先生。渾身の厨二発言を潰され、がっくりの三太さん。




