175 痺れるようなキスってこういうのを言うのねw
シャカシャカシャカシャカ
校長先生。例によってどこから取り出したか分からないスケッチブックにR-1号とR-2号の「濃厚なディープキスシーン」いやもとい「急速充電」を高速ドローイング。
「校長先生。校長先生」
声を潜める鵜鷺先生。
「後で私に今描いているの一枚ください」
「もちろんよ」
ドローイングの手を休めず答える校長先生。
「ともかくこんなラッキーチャンスはそうはないわ。黒髪美形の王子様の熱烈なキスで金髪美形の王子様が目覚める。素晴らしいわ。素晴らしいわ。ああ、BL描いてて良かったー」
そんな中、一人不満げなのは、ねこや先生。
「そりゃあ超絶美形のアールニゴウさんが、他の美形とキスするシーンは美しいけどさあ。カノジョの私を差し置いて、こう熱烈にやられるとね」
ねこや先生。いえ、他の先生方も勘違いされていますが、これはBLのキスではありませんよ。あくまでこれは「急速充電」なんですからね。
それが証拠にエリスはまたも大あくび。
「『急速充電』でも結構時間かかるんだなあ。あー、退屈」
そのまま余計なことをしないで退屈してくれ。エリス。
そして、こちらもあくびをする三太さん。
「むうう。いかにストライクゾーンの広いわしとはいえ、BLはキツイもんがある。どうボケて、どうツッコミを入れたらいいのか、さっぱり分からん」
ここは無理に笑いを取りに行かなくてもいいですから、静かにしていてください。
◇◇◇
ブオーン
おおっ、大きな音がして、R-2号の両目が赤く光り出した。
という状態にも周囲の人たちの状態が何も変わらないことが凄い。校長先生は何枚もドローイングしているし、鵜鷺先生はかぶりつきのまま。ねこや先生は不満げながらチラチラ見ていて、エリスと三太さんは退屈そうなまま。
しかし、R-2号の両目が碧眼に戻り、急速充電したまま、R-1号と共に立ち上がるとさすがにどよめきが走った。
「「「おおっ」」」
「アールニゴウさん。助かったのね。良かったー」
R-2号が長時間白目になって、呼吸していなくて、心音がしなかった状況からR-1号のディープキスで蘇生したことに何の疑問も持たず、飛びつくねこや先生。
いやその方がこっちもR-2号が実はアンドロイドとか説明するのは面倒なのでその方が有り難いんですが。
「それにしてもねえ」
ジト目のねこや先生。
「アールニゴウさんとアールイチゴウさんが仲良しなのは分かるけど、私としちゃ、見せつけられたままでは収まらないわけ」
そう言うが早いか、今度はねこや先生がR-2号にキス。唖然とする校長先生に鵜鷺先生。「けっ、若いもんはいいよな」とやさぐれ気味の三太さん。エリスは例によってR-2号がどうなろうが全く関心なし。
キスを終えた、ねこや先生が一言。
「痺れるようなキスってこういうのを言うのね」
大丈夫ですか? ねこや先生。感電していませんか?
 




