172 ちょっと年上のお姉さんに叱られるってのもいいもんだw
公明正大な決着とはお世辞にも言い難いけど、今朝の騒動も一段落ついたので教室に行くことにした。
行くと何とサダヨシもエリスももう席についている。サダヨシは野郎衆に囲まれ、「女の子のヒミツ」と「モザイク」について次々質問を受けている。
サダヨシの希望としては、やはり女の子に囲まれたいんだろうけど、野郎衆に質問を浴びせられても、嫌な顔一つせずにサービス満点で解説している。
まあコイツにはこういうところがあるから、何だかんだで友達なのだが。
◇◇◇
で、エリスだ。ご承知のようにクラスで僕の隣の席なのだが、露骨に顔を背けている。でも、チラチラとこちらを伺っている。うーむ。
しかし、エリスの態度が不審と言えど、僕も席につかない訳にはいかないので、席につく。すると、エリス、こちらに振り向いて真っ赤な顔で一言。
「オキムネ。このむっつりすけべ」
何なのよもう。
「「「キャアアアア」」」
しかも後ろから女生徒の黄色い歓声が。
これも何なのよもう。
◇◇◇
ホームルームのチャイムの直後、鵜鷺先生登場。ムッとされていますね。当然かと思います。はい。
しかしまあ、真っ赤な顔して、僕に対してそっぽ向いているエリスは女生徒のみなさまにキャアキャア言われているし、今朝方、鵜鷺先生に叱られたはずのサダヨシは野郎衆に尊敬の眼差しを浴びて、何だかふんぞり返っているし。
本当に担任の仕事って大変。うちのクラスは特に。
それでも淡々と連絡事項を伝える鵜鷺先生。そして、最後に
「では、本堂君。私と一緒に生徒指導室に。いろいろ聞かせていただきましょうか?」
なかなか迫力がある声でしたが、サダヨシ、すっくと立ち上がり、野郎衆に向かって、右手を挙げる。
「「「ウオオオオオオー」」」
湧き上がる歓声。呆れ顔の鵜鷺先生と女生徒のみなさん。
「それじゃあちょっくら行ってくるぜ」
「ウオオオオ」
「かっこいいぜ。本堂」
「輝いてるぜ。本堂」
「漢だぜ。本堂」
これはこれで何なんだろうね。
◇◇◇
で、帰ってきたサダヨシは、地に足が着いていない感じで、何だかボーッとしている感じだった。
もちろんサダヨシのところに野郎衆は駆け寄る。
「どうだった? 本堂」
「ああー、うん」
ボーッとしたままのサダヨシ。
「うん。ちょっと年上のお姉さんに叱られるってのもいいもんだな」
サダヨシ、おまえ、また別の性癖に目覚めたのか?
◇◇◇
その後はエリスは相変わらず僕から顔を背けて、真っ赤な顔して、チラチラこちらを見るのは変わってないけど、まあこれぐらいはよしとしよう。
しかし、そういう平穏が長く続く訳がないのだった。
「新田君、剣汰瓜さん、すぐ来て。アールニゴウさんが大変なの」
そう言えばR-2号のこと忘れていたなあ。今度は何をしでかしたんだ? はあ。
 




