171 何見ても「女の子のヒミツ」のところにはモザイクがかかっているしw
ピキーン
鵜鷺先生の眉間にしわが寄る。
そうでしょうそうでしょう。そんなこと言われちゃあ、そう思いますよね。しかしっ! しかしっ! エリスの言っていることはですね……
「新田く「うっ、わーん」
「!」
僕に声をかけようとした鵜鷺先生を遮ったのサダヨシの叫び声。
一瞬、混乱した鵜鷺先生だけど、すぐ立ち直る。この五日間で相当鍛えられましたね。
「何泣いてんの? 本堂君」
「オキムネはっ! オキムネはっ! ズルイッ!」
「新田君の何がどうズルイって? 本堂君」
「だってだって、ピョンちゃん先生っ! 俺だって俺だって、『女の子のヒミツ』が見たいっ!」
「いやそれはね。本堂君」
「だってね。ピョンちゃん先生っ! 何見ても『女の子のヒミツ』のところにはモザイクがかかっているし、モノによっては女の子の顔にもモザイクが……」
ピキーン
またも鵜鷺先生の眉間にしわが寄る。しかし、今回のは前回とはちょっと違うぞ。
「本堂くーん。あなたはホームルーム後に生徒指導室ね」
「ぎゃひょーん」
あ、サダヨシが静かになった。しかし、僕の危機が去ったわけではない。エリスが「僕が『女の子のヒミツ』を見たがった」と言ったのがいい加減な話であるとご理解いただいたわけではないのだ。
◇◇◇
「で、新田君が剣汰瓜さんの『女の子のヒミツ』を見たがったという件は?」
それはですね。そもそもエリスが「女の子のヒミツ」をどう認識しているんだか。エリス、「女の子のヒミツ」って何だ?
「それをあたしに言わせるというのか。オキムネ。てれてれ」
てれてれはいいから、言わないか。また勘違いしているんだから。
「ええい分かった。言うわ。オキムネ。この女の子に卑猥なことを言わせて喜ぶ変態め。『女の子のヒミツ』とはサダヨシがモザイクをかけたものだ」
「おっとお」
はい。鵜鷺先生、つんのめりましたね。
エリス。サダヨシはモザイクをかけてなぞいない。あいつが見た何かにモザイクがかかっていたという話だ。では、エリス。「女の子のヒミツ」とは何だ?
「…… オキムネのムッツリスケベ。そんなこと女の子に言わせるな-」
エリス、真っ赤な顔をして走り去る。あっけに取られる鵜鷺先生。
「で、結局、新田君。何が何だか、私にはさっぱり分からないんだけど……」
そうでしょうそうでしょう。実際僕は何もしていないのですよ。
「まあ、今回は新田君の言い分を信じることにするわ。何だかどっと疲れたし」
ご理解いただきありがとうございます。鵜鷺先生。




