170 「女の子のヒミツ」を見たがるからだw
「はいはい」
パンパンと手を叩く鵜鷺先生。
「本堂君と剣汰瓜さんの言い分は分かったから、新田君、これは一体どういうことなの?」
さすがにサダヨシとエリスの暴走っぷりは高校入学五日目で把握されておられますね。鵜鷺先生。ありがとうございます。
また例によって昨晩エリスとR-1号、R-2号が借りて住んでいる一軒家でしょうもない揉め事がありまして。結論から言うとR-1号が僕のことをくすぐりまくり、それで撮られたのがその写真です。
僕の説明に鵜鷺先生、大きな溜息。
「新田君の説明もツッコミどころ満載だねえ。ところでアールニゴウさんは知っているけど、アールイチゴウさんて?」
あれです。
「!」
僕が指差した先には、相も変わらずガシャコンガシャコンという音と共にラミネート加工された拡大写真を吐き出し続けるR-1号の姿が。
「はあああ。剣汰瓜さんとこのご一族は『奇術師』のご家系か何かなのかな。それはともかく、本堂君。すぐにあの写真の印刷を止めさせなさい」
「えー、何で? ピョンちゃん先生。我々はっ、我々はっ、リア充野郎を弾圧すべるべくっ!」
「だからピョンちゃん言うなって言っているでしょ。良く見て。この写真配ることで、うちの学校の女の子たち、逆に新田君と剣汰瓜さんをリア充カップルとして持ち上げて楽しんじゃっているじゃないのよ。弾圧どころか後押ししちゃっているじゃない」
「うぐぐぐ。おのれオキムネ。何て手強いリア充なんだ」
「拳握りしめて汗流してないで、とにかくアールイチゴウさん止めてきなさい」
「……へーい」
ふう。取りあえずサダヨシの方は止まったか。
◇◇◇
「だけど、新田君、揉め事からくすぐられてアヘ顔写真撮られるというのも普通じゃないよね。一体どういう揉め事だったわけ?」
鵜鷺先生。自分でも無茶苦茶言っているのは承知で言います。エリスとR-1号が住んでいる家を「秘密基地」だと言い出しました。僕は放っておいたのですが、老谷のじいちゃんが「秘密基地」の「秘密」を探ると言い出し、僕まで巻き込まれてくすぐられる羽目になったのです。
「??? じゃあ老谷さんもくすぐられたの?」
いえ、老谷のじいちゃんは腰をマッサージされました。
「??? 新田君。剣汰瓜さんのご一族が規格外なのは私も承知しているけど、これは理解に苦しむわ」
「ふん。当然だ。オキムネが『女の子のヒミツ』を見たがるからだ」
まつ、待て。エリス。それはいろいろな意味で現実と違うぞ。




