169 あたしが勝ったのだ。エヘンw
これはいかん。僕たちも行くぞ。エリス。
「何だ? サダヨシ。妙に積極的だな。ついに『金塊』を出す気になったか?」
そうじゃないわい。またサダヨシが何かしでかす前に止めなければならん。本当のところ、エリスを連れていかないで、一人で追いかけたいくらいなんだが、エリスはエリスで放っておくと何をしでかすか分からないし。
とにかく行くぞ。エリス。
「うわっ、腕を引っ張るな。強引だな。オキムネ。そういう所も嫌いじゃないぞ。これで『金塊』の出し惜しみさえなければいい男なんだが」
また例によって好き勝手言ってくれているが、ここはスルーだ。
◇◇◇
しかし、こういう努力が空しく終わるのが何かパターン化してきたような。
サダヨシが泣きながら例の二枚の写真を女生徒のみなさま方にお配りしている。
「みなさーん。オキムネってオキムネって、こういう奴なんですよー」
女生徒のみなさまは泣いているサダヨシを放っておいて、サダヨシからもらった写真を見て、キャーキャー大騒ぎ。これもパターン化してきたぞ。
しかし、エリスはサダヨシに二枚しか写真を渡していないはずだがと思っていたら、いました。
ガシャコーンガシャコーン
サダヨシの後ろでR-1号が次々に写真を吐き出している。しかもラミネート加工されて拡大までされているし。何なの? この贅沢さ。
「うわーん。それは昨日みたいなビラにするとピョンちゃん先生に怒られるからだ。うわーん。これならみんなその場で捨てない。うわーん」
泣きながら説明してくれるサダヨシ。いやそうまでして写真ばらまきたいのか?
「ほんどうくーん」
噂をすれば鵜鷺先生登場。うわあ、こめかみがピクピクしているぞ。
「本堂君、君って子は何でこう毎日毎日退屈させてくれないの。それから『ピョンちゃん』言うなっ! そして……」
うわっ、鵜鷺先生が僕の方を見た。
「新田君、まあこれはいいです。これは。妬ましくもあるれど、微笑ましくもある」
あ、それは僕がエリスに「あーん」されている写真ですね。
「しかしっ!」
こっ、怖いです。鵜鷺先生。
「こっちの写真は何なのかなあ。説明してくれる?」
はい。僕のアヘ顔写真ですね。これはあるがままに説明申し上げるしかないですね。
「うわーん。ピョンちゃん先生―。オキムネは自分の彼女の絵栗鼠ちゃん使って、その写真を俺に見せつけてリア充自慢するんだよー」
「ピョンちゃん先生。それはだな。あたしの秘密基地の秘密をオキムネが強引に探ろうとするから。あたしが反撃したのだ。そして、あたしが勝ったのだ。エヘン。だけど、オキムネはあたしに『金塊』をくれないのだー」
ああもう、サダヨシにエリス、少し静かにしてくれないか。まともに説明できないんだけど。




