160 裸踊りズより格段にまともだw
いーやそんな眼で見られてもね、脱ぎませんたら脱ぎません。父さんも老谷のじいちゃんも、R-1号もいい大人で、自分がやりたくて裸踊りを踊っているけど、僕は未成年で裸踊りをしたくないのでしません。
「そんなことはどうでもいい。問題は『金塊』だ。『金塊』よこせっ!」
わあっ、またエリスが飛びかかってきた。しかし、待て待て待てっ! そんなに僕の「金塊」に固執しなくても、昨日はR-1号が競馬で三千万円稼いできたじゃないかっ! あれを「秘密基地」とか言って無駄遣いさせずに生活費にしろっ!
「『秘密基地』は『秘密基地』で必要なのだっ! ぐだぐだ言わずに『金塊』寄越せっ!」
つーか百歩譲ってエリスが「金塊」という言葉を聞くとエキサイトするのは仕方ないとしてもこの光景を見ている大人の方々、止めてくださーい。不純異性交遊ですよー。
◇◇◇
「いやー最近の若い女の子はやりますなー。老谷さん」
「絵栗鼠ちゃんは情熱的ですな。新田さん」
「……」
何なの? こののんきな会話は。しかも裸踊り止めないし。どこまで裸踊り好きなの?
◇◇◇
「さて、そろそろけしかける酔っ払いどもを止めるかね? 新田さん」
「お願いしますわ。老谷のおばあちゃん」
おおっ、さすがに老谷のばあちゃんと母さんは裸踊りズより格段にまともだ。
「じいちゃん。裸踊りが大好きなのは知っているけど、腰は大丈夫なの? 腰は?」
◇◇◇
ピキーン
「うっ、うおおおーっ、こっこっこっ腰があああ」
思い出したように四つん這いになる老谷のじいちゃん。つーかあんだけ腰が痛い腰が痛い騒いでたのに、今の今まで忘れていたんですか? アルコールで痛みを消してたの?
「ううっ、こいつあいかんなあ」
父さん、あわてて老谷のじいちゃんの腰に毛布をかける。
「これはもうお開きだね。ほらほら父さんもアールイチゴウさんも服着て」
「ふえい」
さすがの父さんも盟友老谷のじいちゃんがダウンしてはテンションだだ下がり。
「……」
R-1号は何事もなかったように服を着る。パチンコや競馬で荒稼ぎしたり、借家を「秘密基地」に改造する凄い行動力があるくせに、どうでもいいと思ったら本当に言われるがままなのね。
◇◇◇
「しかし、これじゃもう今日はこっちに泊まっていった方がいいね。絵栗鼠ちゃん、老谷さん夫婦を泊めてあげてくれる?」
「しかし母上……」
渋い顔をするエリス。
「地球ケンタウリ帝国の『秘密基地』に一般人を入れるわけにはいかんのだが」
いや借家を大家に無断で改造しておいて「秘密基地」とか言って、大家に来るなって酷すぎないかエリス。
「あーら絵栗鼠ちゃん。絵栗鼠ちゃんが皇帝を務める帝国は地球人二人を『秘密基地』に泊めてもビクともしないんじゃないの?」
「うっ、うーむ」
すげえ、母さん、エリスを制御している!?
 




