16 オーウ。オキムネー2w
「私モソウダガ、Rー1号モ老谷ノ残シタS級資料ヲ基ニオ金稼ギヲシテルノダ。ドウダ、凄イダロウ」
何? Rー1号も老谷さんのマンガかDVD見て、金稼ぎに行ってるのが当確なのかっ? ふぃー。
「ソンナニ喜ブナ」
喜んでないよ。やれやれ。放置すると酷い事態になりそうだし、面倒だけどやるしかないか。
◇◇◇
で? Rー1号はどこ行くって?
「分カラン」
いきなりそれかい。五里霧中だなあ。
「デモ、アッチノ方ニ歩イテ行ッタ」
やだなあ。市街地の方じゃないか。騒ぎがでかくなってないといいけどって、え?
パチンコ屋の前に人だかりが出来てるし。僕、まだ十五歳だしい。関わり合いになりたくないなあ。
うん。あそこにはRー1号はいない。きっとそうだ。そうに決まった。
「オキムネ」
おう、Rー2号。先を急ごう。
「Rー1号ハ、アソコニ居ルゾ」
ぶっ、何で分かるのさあ。さっきどこ行ったか分からないって言ったじゃん。
「発スル微弱ナ電波ヲ受信シタ。アソコニ居ル」
はいはい。高性能なアンドロイドだねえ。君たちは。
◇◇◇
しょうがないので、人だかりに近づく。何の騒ぎですか? これ?
「何の騒ぎって、まあ見てごらんよ」
言われるままガラス越しに見るとパチンコ台に向かって打っているRー1号。その脇に困り切ったという顔の男性店員。その周りには黄色い声でキャーキャー言っている女性陣。そして、うず高く積まれたパチンコ玉の入った箱。
「見タカ? オキムネ。アレガRー1号ダゾ」
言われなくても分かるよ。Rー2号。何なの? この状況。
そうこうしているうちにRー1号がこっちを振り向く。
「オーウ。オキムネー」
ざわっ
ざわめきと注目が僕の方に集まる。また、このパターンかい?
◇◇◇
「ねえちょっと君。あのちょっとかっこいいお兄さんのお友達?」
あわてて僕のところに駆け寄る男性店員。かっこいい? 僕はまた左眼をつぶってみる。
ああ、ああ。なるほどね。Rー2号は金髪碧眼の痩身だったけど、Rー1号は黒髪に眼鏡。でも、彫りが深く、鼻が高い。やっぱり欧州系の顔だ。
「友達ならさあ。何とかしてよ。あの人。これじゃうちの店潰されちゃうよ」
男性店員が困り果てていることには一切お構いなく玉を稼ぎ続けるRー1号。老谷のじいちゃんが残して行ったマンガかDVDで学習したんだろうけど、何なの? このパチンコの腕。
「そうだろう。尋常じゃないよ。このパチンコの腕。てっきりイカサマやってるもんだと思ってさ。裏の事務室に御同行願ったんだよ。こちらのかっこいいお兄さん。そしたらさあ……」
嫌な予感するし、聞きたくないけど聞かない訳にはいかないんでしょうねえ。




