159 眼が獣の眼なんですが?w
「まあ、せっかく老谷さんご夫婦もきてくれたことだし、今日はみんなで夕飯にしましょう」
母さんの提案。まあいいんだけど、何か毎日お祭りをやっているような気がしなくもない。あ、毎日お祭りはエリスたちが来てからずっとか。
「老谷さん、飲もう飲もう。ちょっと頼みたいこともあるんだよ」
ばんばんと老谷のじいちゃんの背中を叩く父さん。つーか二人とも昨晩駅前の居酒屋で潰れるほど飲んだんじゃなかったっけ?
◇◇◇
「だからさあ、老谷さんが絵栗鼠ちゃんに貸している家に農産物直売所作ることにしたじゃん。そこで商品入れるビニール袋にさ、老谷さんの息子さんが出している同人誌の女の子をプリントしたいのよ。凄い萌え絵じゃん」
「ん~、新田さん。うちのせがれの萌え絵は確かに人気あっけどさ、R18よ。R18」
「いいじゃん。裸とかやってるところの絵じゃなければさあ」
「いや、うちのせがれは筆がのってくるそういう絵にしちゃうぞ」
「オキムネ。さっきから父上と老谷のじいちゃんは何の話をしておるのだ?」
知らんでいい。エリス。話の転がりようで、もの凄く面倒くさいことになる予感がするから。
◇◇◇
「ふいー。酔っ払ったな-」
「体も温まってきた。そろそろあれ行くかい? 新田さん?」
「おおいいねと言いたいところだけど、今日はうちの母さんと老谷さんの奥さんの他に絵栗鼠ちゃんもいるぞ。大丈夫なのか? 老谷さん?」
「大丈夫大丈夫。絵栗鼠ちゃんは一回わしの芸見ている」
「うんじゃ大丈夫だな。行くぞ。老谷さん。せーのっ!」
うわあ。「芸」ってもしかするとあれか?
◇◇◇
「「♪あっ、金ねえ、金ねえ、嘆くじゃないよ。男ならっ、男ならっ、裸になーれば、金塊二つっ!」」
やっぱりこの芸か。しかし、この場にあって何事もなかったようにご飯を食べ、お茶を飲んでいる母さんと老谷のばあちゃんすげえ。
まあ、父さんと老谷のじいちゃんが歌いながら脱いでいく分にはまだいいが……
「おらあっ、オキムネとアールイチゴウも脱げえ」
ほらきた。でも僕は脱がないからね。ただでさえエリスに「金塊」「金塊」言われているんだから。
「分カッタ」
おもむろに脱ぎ出すR-1号。肉体派のR-2号に比べると知性派のイメージもあったけど、エリスの護衛を任されるだけあって、そこそこいい体をしているわ。
って感心している場合じゃなかった。気が付きゃ父さんも老谷のじいちゃんもR-1号までがパンツ一丁だし。
それでも淡々とご飯を食べ続ける母さんと老谷のばあちゃん。時折、二人で談笑している。うーむ。夫婦ってすげえな。
しかし、エリスの反応はやはり母さんと老谷のばあちゃんとは違った。
「オキムネ。オキムネは何故脱がぬ?」
エリス、眼が獣の眼なんですが?




