157 路頭に迷ったあたしを部屋に連れ込み、あんなことやこんなことをしようというのか?w
「「オキムネッ!」」
わあっ、びっくりした。エリスとR-1号が声を揃えて僕に言ってきた。R-2号も含めて、やっていることがバラバラな主従なのにこれは珍しい。
「『アイノス』って何だ?」
「『アイノス』ッテ何ダ?」
これだよ。エリスといい、R-1号といい、変なことを知っているくせに、こういうことを聞いてくる。
「愛の巣」とはな、新婚夫婦が二人だけで住む家のことだ。この場合、住む二人は、ねこや先生とR-2号だ。
「「何?」」
またもリアクションがシンクロするエリスとR-1号。
「オキムネッ! ココハケンタウリ地球帝国建国ノ為ノ『秘密基地』ダゾッ! 部外者ヲ住マセル訳ニハイカンッ!」
知るかっ! 文句はねこや先生に言え。
「オキムネっ!」
今度はエリスか? ねこや先生が自分たちの借りている家を「愛の巣」にすると言っていることへの抗議なら、ねこや先生に直接言え。
「オキムネっ! オキムネは老谷のじいちゃん家に、にゃんこ先生とR-2号さんを住ませて、あたしをあの家から追い出し、路頭に迷わす気かっ?」
??? えーと、何を言っているのかな? いつものことのことだが、理解不能なんだが。
「そして、路頭に迷ったあたしを部屋に連れ込み、あんなことやこんなことをしようというのか? このドスケベッ!」
ええいっ
もうっ、どこをどう言ったらいいものやら。
◇◇◇
「だからですね。この家は遠くから出てきて高校に入学した絵栗鼠ちゃんと海外から来た親族のお二人のお兄さんが住むためにお貸ししたんです。アールニゴウさんと一緒にお住みになりたいとのことですが、それは絵栗鼠ちゃんが学校を卒業して、この家を出られるまでお待ちいただけませんか?」
懇々と、理路整然と、ねこや先生を説得するのは老谷のばあちゃん。本当にこういう数少ないまともな人の存在はありがたいわー。
さすがのねこや先生も神妙な顔。ちょっと下を向く。しかし、すぐに笑顔で上を向く。
「分かりましたわー。そういうことでしたら、私の方でアールニゴウさんを我が家にお招きしますわ。さあ、アールニゴウさんっ! レッツラゴー」
レ、レッツラゴーって、死語なんてもんじゃないですよね。えーと、何十年前の言葉ですか? それ?
とか言っている場合じゃなくてえ、おい、エリス。言っても気にしないとは思うが、部下のR-2号がねこや先生の家まで連れて行かれようとしているぞ。ほっといていいのか?
「何? オキムネ。このあたしに、にゃんこ先生からR-2号さんのレンタル料を取れと言うのか? え? 参謀総長?」
むう、発想がそっちに行くのか? 皇帝陛下。しかし、それはいくら何でもエグくないか?
 




