145 手つなぎは大胆なのだw
僕は背中にエリスを張り付けたまま、その部屋のドアをノックした。
校長先生。一年生の新田興宗と剣汰瓜絵栗鼠です。お願いがあってきました。
「どうぞ。入っていいですよ」
その声に僕はエリスごと校長室に入る。
そんな僕らを見た校長先生、開口一番。
「あらあら、相変わらず仲がいいこと。これは私も対抗して旦那を呼ばないと」
言うが早いかスマホを取り出す校長先生。って、校長先生の旦那さんってこの町の教育長じゃなかったでしたっけ?
「だーいじょーぶよ。うちの学校の今年の新入生に凄い百合っ娘が何人も入ったって言えば、飛んでくるから」
新入生に凄い百合っ娘が何人もいるって、本当にいるんですか? そんな人。
「今のところはフィクション」
いやそれじゃあ、嘘言ってるんじゃないですか。
「そうとも言う」
そうとも言うって。いや、そういう話をしている場合ではなくてですね。困っているんですよ。
「ほほう。困りごと? 悩みごと? 絵栗鼠ちゃんとの仲が進展しないとか?」
いや、その話は置いといてですねって、うおっ!
「オキムネッ! あたしとの仲が進展しない話を置いとくとは何事だっ!」
うわっ! うわっ! やめいっ! やめいっ! ない胸押しつけた上、後ろから股間に太もも突っ込むのはやめいっ!
「コホン」
さすがにこの光景に校長先生は咳払いを一つ。
「まあ真面目に聞きましょう。困りごととやらを。よりによって校長室で行為に及ばれても困るので」
◇◇◇
「はあ、ねこや先生からアールニゴウさんに女生徒たちが取り付かないように言われていたけど、止めようがないと。三太さんに校務員の引継をちゃんとやってもらうよう頼んだけど厨二の世界にどっぷりはまってやってくれないと」
そうなんです。
「そうか」
さすがに額に右手の平を当て、考え込む校長先生。
「ここは私が三太さんに言って、校務員の引継は再開させましょう。だけどねえ」
はあ。
「アールニゴウさんがあれだけかっこよくて、しかも三太さんの後任の校務員になるとなると、女生徒たちの注目を浴びるなと言う方が無理っぽいよね。ねこや先生には悪いけど」
はあまあ。そうでしょうね。うーむこりゃ。エリスの生活の安定のためにR-2号が校務員になれれば渡りに舟と思っていたけど、思わぬ副作用が待っていたって、うおっ!
やっ、やめいっ! エリスッ! 僕の股間に後ろから入れた太ももを上に上げるなっ!
「オキムネがこちょこちょ先生とR-2号さんの話ばっかしていて、あたしとの仲が進展しない話をしないからだ」
うー、分かった。じゃあ僕の後ろにいないで隣に来い。ほれ、手を出せ。僕も恥ずかしいけど、手つなぎしよう。
「オッ、オキムネッ! そんなっ! 手つなぎなんて大胆なっ!」
股間に太もも突っ込むのが大胆でなくて、手つなぎが大胆か? つーか手つなぎ、前もやってなかったっけ?




