138 昭和の芸能人水泳大会ではないのでポロリはないw
トントン
「どうですかー?」
ノックをしてから鵜鷺先生が入ってくる。
「うん。今この状態」
校長先生、一言で回答。
相変わらず赤フン一丁で仁王立ちのR-2号。その脇で赤フン一丁にパーカーをはおり、四つん這いになっている三太さん。湿布はねこや先生に替えてもらったけど。
「!」
あ、三太さんと鵜鷺先生の目が合った。
次の瞬間、三太さん、R-2号に向かって叫ぶ。
「ゴーレムッ! わしを肩に乗せろっ!」
「エート」
例によって困惑顔のR-2号。
「オキムネ。三太サンハ何ヲ言ッテイルノダ?」
まあ困惑するのは分かるが、ここは三太さんを肩に乗せてやってくれい。女性の鵜鷺先生が部屋に入ってきたので、カッコをつけたいという男の厨二魂なのだ。
「意味ガ分カラナイケド、分カッタ」
そう言うが早いか、R-2号を片手でひょいと拾い上げると左肩に乗せた。
「「ウオオオオオ」」
ハモりで感嘆の声を上げる校長先生と鵜鷺先生。
「左肩に人を乗せて、雄々しく立つ金髪碧眼筋肉美青年。これはこれでそそるもんがあるわ」
素早くスケッチブックを取り出し、ドローイングを再開する校長先生。それに見入る鵜鷺先生。
「だけど三太さんには悪いけど、やっぱり肩の上に乗せているのは少年の方が絵になるわねー」
と言いつつ、僕の方も観察する校長先生。何か嫌な予感がしてきた。
「よーしっ! 取りあえず仮完成っ!」
そう言ってドローイングを披露した校長先生。うわあああっ! R-2号の左肩に僕が乗っているのはいいとして、何で僕まで赤フン一丁なんですかっ?
「うーん。いいわいいわ。金髪碧眼筋肉美青年と少年の赤フンBL。これは断然創作意欲が湧いてきたわ」
校長先生、僕の話を全然聞いていませんね。
「オキムネッ!」
わあっ、びっくりした。エリス。赤フンの話にはもう興味なくしていたんじゃないのか?
「R-2号さんとサンタクロースのじいちゃんが赤フンになるのは知ったこっちゃあない。しかしっ! オキムネが赤フン一丁になるというなら話は別だ」
そうなの?
「そうだろう。オキムネが赤フン一丁になるなら、『金塊』ポロリもあるよではないか」
うーむ、また老谷のじいちゃんが残していった妙なものを読んだな。昭和の芸能人水泳大会ではないのでポロリはないっ! 僕も赤フンは着用しません。
「なにー」
わあっ、飛びかかってくるなー。
「オキムネー。赤フン着けろー。ポロリしろー。オキムネー。赤フン着けろー。ポロリしろー」
抱きついてくるなー。こっちは健康な男子高校生。そういうことされるといろいろヤバいんだって。