136 あたしは金塊がほしいのだっ! ほしいのだっ! ほしいのだーっ!w
鵜鷺先生の言葉にサダヨシ真っ青。
まあ、ノリだけで突っ走ればそういうことになるよね。
ヘビに睨まれたカエル状態のサダヨシから目を離し、こちらを向き直した鵜鷺先生はパンパンと手をたたいた。
「はーい。ちゅーもーく。今の日本で結婚できるのは何歳からだっけー?」
「「「十八歳でーす」」」
「正解っ! そして、新田君と剣汰瓜さんは高校一年生。一般的に高校一年生は何歳かなー?」
「「「十五歳か十六歳でーす」」」
「正解っ! では、新田君と剣汰瓜さんは今すぐ結婚できるのかなー?」
「「「まだ出来ませーん」」」
「正解っ! 分かったかぁーっ? 本堂くーんっ?」
そして、サダヨシ。しばしの沈黙の後、鵜鷺先生をじっと見つめて一言。
「ピョンちゃん先生。彼氏いなかったのですか? 彼氏募集中ですか? 歳の差十歳はアリですか?」
鵜鷺先生、一瞬顔を真っ赤にさせたけど、右手を胸に当てて、深呼吸して一言。
「まあ少なくとも友だちとその彼女のことをこうやって冷やかす人とはないかな。もうちょっと自分を磨いてくればワンチャンあるかもね」
今度はサダヨシが真っ赤。何かパターン化してきたなあ。
「ピョンちゃん先生~」
うわっ、エリスが手を挙げた。
「何かな? 剣汰瓜さん」
「あたしとオキムネは今すぐ結婚できないのか? 結婚出来ないと、あたしにはオキムネの『金塊』が手に入らないのか? あたしはオキムネの『金塊』がほしいのだっ! ほしいのだっ! ほしいのだーっ!」
エリスー。せっかくいい話で締まるところだったのに、見事にぶち壊したなあ。はあっ。さすがの鵜鷺先生も呆然だわ。これは。
◇◇◇
それでも場を立て直し、授業をきっちりやった鵜鷺先生は凄い。サダヨシとエリスがいるクラスを何とか切り盛りしていっているのは凄い。
そして、6時間目の授業も終わった。バイト先の下総屋の店長の犬咲さんが今日も来るように言っていたなあ。と言うか、いきなりコスプレ騒ぎになったり、父さんが痛車トラクターで乗り込んできたりで、履歴書とか面接とかろくにやってなかったんじゃあ。
「ちょっとー、新田君に剣汰瓜さん」
鵜鷺先生、何ですか?
「校長先生から三太さんがぶっ続けで、アールニゴウさんに赤フンの振り付けの特訓しているけど、さすがに大丈夫かと聞かれたんだけど」
「何を言うか。ピョンちゃん先生。R-2号さんはケンタウリ星の最新鋭のアンドロイドだぞ。壊れたりしないのだ。サンタクローズのじいちゃんと、ねこや先生に任せとけばいいのだ」
鵜鷺先生、エリスのこの発言を華麗にスルー。
「どうかな? 新田君」
そうですね。見に行ってみましょうか。
「オキムネー。放っておけばいいのだ。それより『金塊』がほしいのだ。すりすり」
そう薄情なことを言うなエリス。仮にも主君だろう。R-2号はエリスが消毒の痛さで悲鳴を上げた時に保健室のガラス窓を突き破って駆けつけるほど忠誠心があるんだから、ここは見てやろうよ。