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135/188

135 君は、この私が二十五歳独身。彼氏なしと分かって、言ってくれているのかなあ?

 キーンコーンカーンコーン カーンコーンキーンコーン


 はい。チャイムが鳴りました。しかし、ご安心を。これは予鈴。午後の授業開始五分前の合図です。


「くっ」

 唇から血が出るほど歯を食いしばる鵜鷺(うさぎ)先生。

「これからという時にっ! しかし、私には午後の授業があるっ!」


鵜鷺(うさぎ)先生。いってらっしゃい。大丈夫。私がきっちりドローイングしとくから」

 校長先生、赤フンのR-2(アールに)号から目を離さずに言う。


「はああ~、校長先生、よろしくお願いします」

 鵜鷺(うさぎ)先生。何ともがっくりした表情で保健室を出る。

「ほら、新田(しんでん)君に剣汰瓜(けんたうり)さんも授業だよ」


 そうでした。教室に戻らないと。また今回も濃い~昼休みだったなあ。あ、そう言えば次の授業は鵜鷺(うさぎ)先生の「公共」だった。よーし、行くぞ。エリスって、うわっ!


「危ないところだった。あたしがオキムネの背中にすりすりして、金塊を奪うというという設定をうっかり忘れるとこだった」


 えーい、エリス。そういう設定は忘れていいのだ。ない胸をこすりつけるなーっ! つーか、このまま教室まで戻る気かっ? 途中には職員室もあるんだぞっ!


 すりすりすりすり すりすりすりすり


 ざわっ


 授業開始直前の学校の廊下でこれは目立つ!


「ほらあの子、今朝、校庭で騒ぎになった」

「やるわねえ」


 そんな声もちらほら聞こえてくるし、高校入学四日目でこれって、僕の高校生活どうなるんだろ。


「あら、剣汰瓜(けんたうり)さん。まだ新田(しんでん)君にすりすりしてたの?」


 職員室の前でお弁当を置いて、代わりに教科書を持って出てきた鵜鷺(うさぎ)先生と鉢合わせ。


 そうなんですよー。先生~。言ってやってくださーい。


「まあ、休み時間はいいわ。授業が始まったらやめるようにね」


 おい、エリス。聞いたか? 授業が始まったら、すりすりやめるんだぞ。


 すりすりすりすり すりすりすりすり


 分かってんのか? もう。


  ◇◇◇ 


 鵜鷺(うさぎ)先生は教室の前方の扉から、僕とエリスは後方の扉から、ほぼ同時に入ると……


 ウオーッ パチパチパチ


 教室中から拍手。


「これは何事?」

 さすがにあっけに取られる鵜鷺(うさぎ)先生。


 で、後ろの黒板には「新田(しんでん)君、剣汰瓜(けんたうり)さん、結婚式の日取り決定かっ? 仲人は鵜鷺(うさぎ)先生!」と。


 サダヨシー。君は本当に懲りないねえ。

「オキムネッ! 俺はくやしいっ! 本当にくやしいっ! だが、こうなった以上、親友として力の限り、祝ってやるっ! 覚悟しろっ!」


「ほ・ん・ど・う・くーん」

 ヤバいぞ。サダヨシ。鵜鷺(うさぎ)先生の眼が座っているぞ。

「どうしてこんな話が沸いてきたのかな~?」


「いやだって、昼休みいっぱい帰ってこなかったのは、結婚式の日取りの打ち合わせでしょう? で、仲人の鵜鷺(うさぎ)先生も立ち会って」


本堂(ほんどう)君。ちょっと前へ来なさい」


 教室の前に出たサダヨシを待っていたのは、鵜鷺(うさぎ)先生の鋭い視線だった。

「君は、この私が二十五歳独身。彼氏なしと分かって、仲人とか言ってくれているのかなあ?」



 


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― 新着の感想 ―
なるほど、ひと回り上か。 これはいけるぞ!サダヨシ!私は応援してる!笑
[一言] コレは教育やろなあ( ˘ω˘ )
[良い点] おや、これはサダヨシくん、盛大に怒られる感じかしら(笑) でも鵜鷺先生は「二十五歳独身。彼氏なし」でも全然大丈夫と思うけど(笑)
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