132 だっ、だってさ。厨二っぽくてカッコいいじゃんw
「えーと」
場に何とも言えぬ余韻が漂う中、最初に口を開いたのは鵜鷺先生だった。
「私も結構マニアックな趣味もあるんですが、お話伺うと三太さんも老谷さんも私などが及ぶものではない厨二ぶりです。あのお二人ともご結婚されているのでしょうか? されているとしたらよく奥様がお許しになるかと」
「ピョンちゃん先生。老谷のじいちゃんには、ばあちゃんがいるぞ」
そうだね。エリス。老谷のばあちゃんは相当しっかりした人だから、あの暴走厨二じいちゃんを制御できているんだよね。
「あら、三太さん。輿板三太さんも既婚者よ。娘さんもお二人いらっしゃるし」
ぶっ、それはマジっすか? 校長先生。奥様、河居子鰤子さんじゃないですよね? あ、そんなわけないか。河居子鰤子さんのその後のことは僕ですら知っているし。
そこでポンと手を叩く校長先生。
「あー、そう言えば、三太さんの奥様のお姉さんは老谷さんという人と結婚されたんじゃあ?」
えーっ、それが事実だとすれば……
◇◇◇
「えー、まあそのー」
真っ赤になって下を向き、両手の人差し指をお互いにつんつんとぶつける三太さん。
「そんな話も確かにあったような気も……」
ということは、真剣な顔してエリスに「老谷の縁者か?」と聞いていましたが、縁者は三太さんの方じゃあないですか? 一般的には義理の兄弟ってやつですよね?
「そうとも言う」
あーあー思い出した。三太さん、見たことありますよ。下総屋で老谷のじーちゃんとR18コーナーで仲良く盛り上がっていたでしょ?
「そんなこともあったような」
つーか何でそれでエリスに「老谷の縁者か?」と詰め寄ったんです?
「だっ、だってさ。厨二っぽくてカッコいいじゃん」
へ? 唖然とする僕の左肩をぽんぽんと叩くエリス。
「まあまあ。そう責めてやってくれるな。オキムネ」
え? 「老谷の縁者か?」と詰め寄られたのはエリスだけど、いいの?
「かまわんかまわん。あたしは皇帝だから鷹揚なのだ。しかし、オキムネ。よくぞサンタクロースのじいちゃんと老谷のじいちゃんが仲良しさんなのを暴いた。褒めてつかわす」
いや、褒められるようなことは何もしていないよ。厨二同士が揉めていると言っても大体根っこのところは仲がいいっていうのは多いし。
「まあ、そう遠慮するな。オキムネ。褒美をとらせる。ほれ」
チュッ
そう言うとエリスは僕の左頬にキスをした。うわああああ。