127 その魂の塊がこれだと言うのですか?w
♪H・U・N・D・O・SHI!
♪フ・ン・ド・シッ!
♪(フンドシ)
♪H・U・N・D・O・SHI!
♪フ・ン・ド・シッ!
♪(フンドシ)
♪君は素敵な赤フンボーイッ! 浜辺の視線を独り占めっ! イエイッ!
♪(キャーッ! キャーッ!)
♪君は素敵な赤フンボーイッ! 浜辺の話題を独り占めっ! イエイッ!
♪(おまわりさんっ! あの人ですっ!)
それはそれは見事な昭和アイドルミュージックをバックに踊りながら現れたのは歌詞とおりの赤フン一丁のおじいちゃん。
この人がっ! この人がっ! 三太さん、なのですかあっ?
「そう、この人が三太さん」
早速のご回答ありがとうございます。校長先生。そして、それ以前に赤フン一丁の三太さんを見て、すかさずスケッチブックを取り出し、ドローイングを始めているのはさすがです。
そして、頬を赤らめながら描かれているイラストを覗き込む鵜鷺先生。こういうところがなければ非の打ち所のない先生なんだけどね。
ねこや先生はR-2にびたりとくっついたままぼそっと一言。
「そうか。『赤フン』もありか……」
何だか凄く嫌な予感がするんですが。
エリスはこれでもかと大あくび。
「オキムネ。これは一体何なのだ?」
正直、こっちが聞きたいくらいなんだけどね。
◇◇◇
それにしても、三太さんは腰痛が原因で校務員を引退するってお話じゃなかったんでしたっけ? それがこんな激しいダンスを踊って大丈夫なんですか?
「いやそういう話だったんだけどね」
これは校長先生のドローイングを見ながらだけど、鵜鷺先生が答えてくれる。
「三太さんに『後任はどういう人なの? この仕事も結構体力勝負だから、体力ない人にはキツイよ』と言われたの。だから『大丈夫ですよお。三太さん以上の筋肉質ですから』と答えたら、『何? わし以上の筋肉質? ならば、何としても、わしの魂の塊を伝授せねばなるまい。たとえ我が腰砕けようとも』という話になって」
その魂の塊がこれだと言うのですか? うーむ。
グキッ
思ったより早くその時は来た。
「ぐおおおおー」
四つん這いになって自分で腰を撫でる三太さん。
「いだだだだだ」
ほらほら無理するから。
「いやこんなことは大したことじゃあない。それよりわしの秘伝の奥義を継承してくれるという若いの。このわしの魂の塊を受け取ってくれい」
そう言った三太さんの右手には赤フンがしっかりと握られていた。
って、何でいい話みたいになっているんだろう。




