表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリス・ザ・ファースト~おかしな建国皇女とおかしな周囲の人たちの日常コメディ~  作者: 水渕成分


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/190

110 トーストくわえて「ちこくちこく」と言いながら走る女子高生になりたいのだw

「お母上。そういう訳であたしはトーストがほしいのだ。やはり女子高生としては遅刻しそうな時はトーストをくわえて走るのが鉄則なのだ」


 何がどう「鉄則」なんだよ? エリス。


「トースト。トーストねえ」


 わ、母さん、真面目に考え込んでいるよ。母さん、エリスには甘いねえ。僕が同じこと言ったら「嫌なら食うな。おまえは当面メシ抜きじゃ」とか言いそうなのに。


「ごめんねえ絵栗鼠(えりす)ちゃん。我が家は父さんが『米の飯食わないと力が出ない』って人なもんだから、あんましパン系のものは置いてないの」


「それはお母上。残念なのだ。あたしはトーストくわえて走る女子高生になりたいのだ。なったら恋に落ちて、『金塊』が手に入るのだ」


 何なの? そのハイパーな理論。


「うーん。取り急ぎくわえられてへにゃとならなければいいのね。正月だったらモチの残りがあったけど……」


 母さん、モチくわえて「ちこくちこく」と言って走る女子高生はかなりシュールですよ。くわえているうちに落ちそう。まあそれを言ったらそもそもトーストもそうなんだけど。


「じゃあさ、絵栗鼠(えりす)ちゃん、これをくわえていけば?」


 母さん、それは……


 ◇◇◇


 急げ急げ。高校入学四日目にして遅刻はイカン。


 ましてや僕もエリスも昨日はいろいろあって入学して一週間も経っていないのに、担任の鵜鷺(うさぎ)先生ばかりでなく保健室のねこや先生や校長先生にも注目されている身だ。


 それにしても今朝は今までより出発時間が遅れたせいか「刺客」サダヨシに出会わないのも大きい。なんやかやでエリスは僕の手を握りながら走っているし、サダヨシに会ったら何か一悶着起きそうだしなあ。


 とか思いながら走っていたら学校のすぐ近くまで来たぞ。反射的に腕時計を見る。うん。これならもう後はゆっくり歩いても余裕で間に合いそうだわ。エリス、お疲れさん。もうゆっくり歩くんでいいよ。


「もうゆっくり行けるのか?」


 そうそう。ゆっくり行けるよ。


「よしじゃあ。あれをやるぞ。オキムネッ! 女子高生はあれをやらねばならんっ!」


 あれって何よ? あれって? と僕がツッコミを入れようとしたその瞬間、後ろでドサッとカバンを落とす音がした。はあーっ、ここで奴の登場かよ。


 ◇◇◇


「えっ、えっ、えっ、絵栗鼠(えりす)ちゃんっ! 何でチクワを二本もくわえているの? 絵栗鼠(えりす)ちゃんの趣味? それともまさかオキムネの趣味なの?」


 サダヨシ、その疑問はもっともだ。トーストをくわえて走る女子高生になりたいと言い出すエリスも変だし、家が和食党でトーストがないというのはともかく、代わりにチクワ二本を差し出す母さんも変だし、それを普通に受け入れ、チクワ二本くわえて走るエリスも変だ。


「サダヨシ。いいところに来た。これからあれをやるから周りの交通整理をしてくれ」


 エリス、サダヨシの疑問を華麗にスルー。それどころか当然のように自分のやりたいことにサダヨシを使う。だからあれって何だ? あれって?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] チクワ笑 2本なのは良心かな笑
[良い点] 途中から一気読みしました! やっぱり面白いです♪ ちくわ美味しいですからね( *´艸`)
2024/04/20 18:04 退会済み
管理
[一言]  ちくわを咥えるエリスはへんだけど、それを勧めるオキムネの母親もへんですね。  へんがへんを呼び、混とんと化してます。ではまた。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ