103 オキムネはエリスに振り回されるw
生活費は十分にできたし、エリスも僕と一緒にアルバイトすることになったし、ま、「金塊」の話は置いといて。
「『生活費』がたくさんあるから、『金塊』はくれないのか?」
涙目の上目遣いで僕を見るエリス。いやっ、いやいや。僕の「金塊」は建国資金がないから必要だったんでしょ? 三千万円も出来たんだからいいじゃん。
「そうか。『さんぜんまんえん』あるからか」
何か妙にあっさり引いた気もするが、とりあえず収まったということでよしとするか。
◇◇◇
にもかかわらずエリスは食事の段になると、僕にビタリとくっついてきた。うーむ。分からん。
「あらあらまあまあ。仲のいいこと」
母さんは相変わらず柄にもない「のんきな母さん」やっているし、R-1号と言えば、ご飯の入った茶碗を持ち上げて、
「167キロカロリー」
とか言っているし。
後は母さんの「どう? 新しい学校は?」の質問にエリスが「まあまあなのだ。先生がみんな結構面白いのだ」と答えたり、R-1号は黙々と食べている。本当にアンドロイドのエネルギー吸収ってどういうシステムになっているんだろ?。
◇◇◇
「さあてっ、洗い物済ましちゃうか。オキムネ、あんた、先にお風呂入っといて。それとも絵栗鼠ちゃんと一緒に入る?」
するとエリス。するっと僕の左腕に絡めていた右腕を抜くと、さっと立ち上がり、母さんのところに。
「お母上、洗い方を教えてほしいのだ」
うーむ。僕とお風呂に入りたくなかった、もしくは恥ずかしかった。それよりも母さんとの親交を深める方がエリスにとって大事だった。そもそも何も考えておらず、その時の気分で母さんのところに行ったか。分からん。何だか振り回されているような気分だなあ。
◇◇◇
かくて部屋に残ったのは僕とR-1号の二人。そうだ。このケンタウリ帝国製のアンドロイドに聞いておくことがあったんだ。
R-1号。エリスは地球の中学出ていないし、そもそも住民登録していない。だけど普通に高校入学している。手続きはR-1号がやったのかい?
「私ガヤッタ」
ズバリかつシンプルな回答ありがとう。だけど、必要書類がないと入学手続きも出来ないよね。それはどうやって揃えたの?
「簡単ダ。他ニ239人モ入学者ガイタカラ、ソノデータヲ少シズツコピーシテ提出シタダケダ」
簡単なもんじゃないけどね。やっぱりそういうことか。ところでエリスの通っている高校でR-2号が校務員として雇ってもらえそうなんだが、外国人に見えるので「就労ビザ」が必要と言われたんだが作れるか?
「『就労ビザ』ッテ何ダ?」
分からん。こっちだって入学三日目の高校生だぞ。
「チョット待テ。ネット検索シテミル」
そう言ったR-1号の両目は赤くなって点滅し、ブーッブッブッと音を発した。案外旧型っぽいのね。




