101 R-2号もR-1号も自分たちが普通の人間ではないことを一向に隠そうとしないw
「まあ、あたしもね。絵栗鼠ちゃんの『裸エプロン』はぜひぜひぜひに見たいところところだけど、お兄さんも来ているしねえ」
ん? お兄さん? お兄さんて? わっ? R-1号、いつからそこにいた?
「オキムネガ二階カラ下リテクル。13分46秒前カラダ」
何なの? その細かい数字と言いたいところだけど、R-1号だからなあ。でも、何でまた僕の家に来たの?
「商店街ヲ通ッテ帰ッテキタラナ。『あんたテレビで見たよ。凄いじゃん。今度、競馬の勝ち方教えてよ』ト言ワレテナ。ドコ住ンデルノカ聞カレタカラ、『シンデンオキムネノ家ノ隣ニ住ンイデル』と言ッタラ、『ああじゃあ新田さんにはお世話になっているから』ト言ワレテ、コレヲモラッテキタノダ」
あ、何が紙袋に入っているのかと思ったらリンゴじゃん。と言うことは話した相手は八百屋のおばさんかあ。あそこん家には父さんが規格外の野菜を安く卸しているからなあ。
つーか今更だけどR-2号もR-1号も自分たちが普通の人間じゃないってことを一向に隠そうとしないのね。
R-2号は人前で空飛ぶし、R-1号は競馬場で12レース全部3連単で当てるし、そのうち一つは万馬券だしって、あれ?
R-1号、12レース全部3連単で取って、万馬券も取ったとなると相当稼げたんじゃないのか? と言っても僕はそういうのゲームでしか知らないけど。
「ウム。最初はコレダッタ」
R-1号が見せたのは一枚の百円玉。
昨日は結局全然稼げなかったと思ったけど、よく一枚とはいえ、百円玉持っていたね。
「ウム。オキムネノ財布カラ借リタ。ソレヲ伝エル機会がナカッタガ」
おいっ!
◇◇◇
で、いくらになったの? 実際のところ。
「ウム」
こともなげに僕に百万円の束を一つ渡すR-1号。わあっ!
念のために一枚抜いて確認すると、真ん中のすかしとか角度を変えたら見えるホログラムとかちゃんと入っているみたいね。
それにしても普通の農家の次男坊でしかないこの僕が十五歳にして、「しゃくまんえん」を手にするとは。いや分かっているよ。別に僕のものじゃないってのは。
しかし、R-1号。これは大事なものだろ。簡単に僕に持たせちゃっていいの?
「コンナモンデヨケレバナ、今日タクサンモラッタゾ。同ジモンガ30アル」
なに? 百万円の札束が30ってことは三千万円か? そんだけあれば向こう何年かは生活に困らんぞ。
「何? コレソンナニ凄イノカ? 老谷ガ置イテイッタ機密資料ニヨルト、コレハ湯船ニイレテビキニ姿ノ若イ女性ト入ルモンジャナイノカ」
それは老谷のじいちゃんが置いてった男性向け青年漫画誌の裏表紙だろう。強運のペンダント買ったら、お金ガッポガッポでビキニの女の子と札束の湯船に入るという……
 




