100 記念すべき100話目ですが、おバカですw
「くかー」
改めて隣を見るとエリス寝ているし。
まあ今日は、いや、今日もいろいろあって疲れているのだろうけど、「皇帝」とか自分で名乗っていて、こんな無防備でいいのか?
おまけに護衛のR-1号がテレビニュースで物議を醸しているのに気にならないのかなあ。
でもまあ寝顔はちょっと可愛いかもしれない。ちょっと目が釘付けになってもいる。
「くかーっ、ぴっ」
わっ、エリスが起きたっ! しかもその瞬間目が合ったっ!
「オキムネッ! こっこっこっ、この無礼者っ!」
へ?
「こっ、こっ、こっ、皇帝の、ねっ、ねっ、ねっ、寝込みを襲うとは、なっ、なっ、なっ、何たる無礼」
いや、寝込み襲ってないって。エリスが起きたときに目が合っただけでしょ。
「だがしかしっ!」
うわっ、よせっ! 顔を近づけるなっ!
「あたしは恥ずかしかったのだっ!」
恥ずかしがり屋はそんなに相手方に顔を近づけたりせんっ!
「はいはいはいはい」
運転席の母さんから声がかかる。
「二人とも仲がいいのは良く分かったから、痴話げんかはほどほどにね。ほらもう家に着いたよ」
痴話げんかじゃありませんって。でももうやっと家に帰ってきたかあ。いやー、今日は長かったー。
◇◇◇
「前にも言ったけど、もう夕飯は作ってあるんだよ。そしたらお父さん、飲みに行っちゃうしさあ。ご飯余っちゃうから、絵栗鼠ちゃんも食べていきなよ。ちょっと来て、一緒に温め直そう。オキムネは着替えといで」
へーい。僕のことはともかく母さん、もうすっかりエリスのことを嫁扱いですね。
二階の自室で着替えてそそくさと一階のダイニングに降りていくと、隣のキッチンで母さんとエリスの声が。
「絵栗鼠ちゃん。じゃあこの出来上がったものをダイニングのオキムネのところに持っていって。もう着替えて降りてきているみたいだから」
「分かった」
「あら、絵栗鼠ちゃん。エプロン外してどうしたの?」
「ん? こういうときは『裸エプロン』で持っていくのじゃないのか?」
ぶっ、やばいやばい。想像したら鼻血がでそうだわ。
◇◇◇
「キャーッ、絵栗鼠ちゃん。カッワイーイ」
「うわあ、何をするのだ。お母上。急に抱きついてきたりして」
「もうね。絵栗鼠ちゃん。あなたはぜえったいにウチの嫁よ。オキムネに『婚約破棄』なんかさせないんだから。『婚約』から『結婚』。『子だくさん』で『ハピエン一直線』よ。『ざまあ』も、『もう遅い』も、『異世界転生』も、『異世界転移』も目じゃないわ。♪ハピエーンいっちょくせんーっ」
何なんですかもう。記念すべき100話目だってえのに、『裸エプロン』から『ハピエン一直線』て。




