#5 初仕事
ダレダコイツ.......
あれ?お父様は? ん?なんだこの幼女は...仕事???
「はあ なんなんですかねぇ全く、ほんとに手のかかる人ですね。私ですよコリンです。あなたは現世で亡くなってカミサマに頼んで天使にしてもらったんですよー 覚えてないんですか!!」
俺は全部思い出した。そうだ俺死んだんだった。ってことはこれはコリンの幼女フォルムということか。
「ああそうか。でもコリン悪いが俺に幼女趣味はないぜ。だからいつもの大きさに戻れ。」
「ふん まったくこれになってるのはあなたのせいなんですからね。文句を言われる筋合いはないんですからね。」
よくわからんがこの姿になってしまっているのは俺のせいらしい。
「とにかくそろそろお客様たちが来ますから準備だけしてくださいね。」
俺はコリンに言われるがまま用意をしてお客様を迎える準備を始めた。
今は現世時間でいうと朝の8時頃。ようやくその準備とやらが終わった。
コリンは人間の女性の姿に戻り机と椅子を部屋の中央付近へと持っていきそこに座った。
俺はその横で立つといった感じだ。まあこうなることは何となく予想がついてた。
「これで客を迎える準備ができたのか?」
「ええ。一通りはこれで大丈夫ですね。あとは扉の出現を待つだけです。こればっかりは本当にただ待つだけですね。」
30分後
「なあ いつ来るんだ?」
「まだ30分ですよ?そんなにいっぱい来るわけでもありませんし、来ない日だってあります。」
「まじかよ 俺その間ずっと立ちっぱなのか?」
「そ、それはそれでちょっとかわいそうな気もしますね。椅子交代しましょうか?」
「いいのか?でも女を立たせたままにするのは、俺の中の男が廃るというかなんというか。」
「じゃあ交代しなくてもいいんですか?」
「嘘です。ずっと立ってるのつらいです。座らせてください。」
俺はそう言ってコリンが座っていた椅子に座らせてもらうことにした。
「なあ コリン」
「なんでしょうか?」
「コリンが座ってた椅子めっちゃあったかいわ。天使ってすげぇあったかいんだな 初めて知ったわ。」
「何言ってるんですか!てか昨日の夜も暖かさ求めてあんなことしてたんですね!」
「うん?あんなことって俺なんかしたっけ?」
コリンは、はっとした顔をしていた。
「う、うるさいです。何にもしてませんよ。」
俺はコリンの反応でますます気になったかが聞かないことにした。その時.....
壁に一枚の扉が現れた。俺はコリンと急いでせきを交代した。そして扉が開いた。
扉から出てきたのはやさしい顔をした老婆であった。
老婆はこの空間もとい俺の寝室を見て驚いたような顔をしていた。そこにコリンが話しかける。
「はじめましてミール様、そして今までお疲れさまでした。」
コリンはそう言い終わると俺のほうを向き小声で
「ほら!デッドもねぎらいの言葉をかけるのよ」
そういわれた俺はそのミールという名前の老婆に対して
「お、お初にお目にかかりますミール様。これからはゆっくりなさってくださいませ。」
なんかものすごくかしこまってしまった。いいよな急に言われた上に初めてなんだから。
すると俺たち二人の言葉にミールが返事を返す
「これはどうもご丁寧にありがとうね。それとここはどこなんだい?」
「ここは天界と下界を結ぶ空間です。信じられないかもしれませんがミール様、あなたは現世で老衰で亡くなられました。」
すると老婆はこう返す。
「そうか。私は死んだのね。あなた方は天使様というわけかな?私は身寄りがなくてずっと一人だったけどこうして天へ帰るときに見送ってくれる人がいるのはうれしいねぇ。ありがとうね天使様のお二人。」
老婆は眼鏡をはずし涙をぬぐいながらこう話した。
「もうこれからは一人じゃありません 天界に行けば様々な人と暮らせますから孤独を感じることはありませんよ、それに今は年を重ねられたかもしれませんが自分が最も活躍していた時の年齢に戻ることもできますから、何不自由はありませんよ。」
コリンがそう諭した。
「そうなのねじゃあ私は今このままの姿で送ってもらおうかしらね。体格や見た目が若くなったとしても私は今の私が一番愛せるからね。」
「はい そういった方もたくさんいらっしゃいます。きっと素敵な方が見つかりますよ。では...」
そういい終わるとコリンは俺に渡したときと同じように老婆に紙を差し出した。それを読んだ老婆もその紙にサインした。
すると老婆の足元に魔法陣が展開された。そして老婆の体はゆっくりと上にまばゆい光になって登っていく....
「お疲れさまでした。天界でしばしの休息をお楽しみください。」
コリンがそうつぶやいたのだった。
少しするとコリンが俺のほうを向いた。
「うんうん なかなか最初の挨拶は上出来だったわ。でもさすがにちょっとかしこまりすぎだったわ。丁寧だけどなんかうっとおしいというかなんというかね...もうちょっと簡単でいいわ。あんまり気を使いすぎても疲れちゃうわ。」
そう聞いて俺は意外とちゃんとした分析で驚いた。ひょとしたらこいつは結構すごい奴なんじゃないかとも思った。