#4 夜と朝
そのあとも俺はコリンとのたわいもない話をつづけた。
そこで一つ気が付いたことがあった。
「なあコリン一つ気が付いたことがあったんだが..」
「ん? なぁーに?」
「コリンって人間の形の時のほうがしゃべり方丁寧だよな?」
「あー それは人間の形はどちらかというと天界へ向かう人をもてなすための姿だからねー。フクロウの姿はどうでもいいような理由で死んじゃった人を成仏させるときの姿だから。」
「あー だから俺に会ったときはフクロウだったのか...」
「でも俺は人型のコリンのほうがいいなー」
「あら?そうなんだ。じゃあ人型になってあげるからちゃんと仕事覚えてよね。」
そういうとコリンがまばゆい光を放った。
「これでいいですかね?」
目を開くとコリンは人間の姿になっていた。
「やっぱり女性的な見た目なんだな。」
「そうですね、男性的な見た目にすることも可能ですけど口調や声色的に多分頭の中がついていけなくなりますよ。」
微笑みながら、そしてフクロウの時よりも丁寧な言葉でそう言った。
(やっぱりめちゃくちゃカワイイんだよなぁ。)
その時ボーンボーンと置時計の鐘がなった。0時の合図である。
「いろいろ話してたらもうこんな時間ですね。眠くはないんですか?」
「確かにちょっと眠くはなってきたかな。でも不思議とおなかはすいてこないのな。」
「亡くなっているので生命維持というのも変ですが一応必要十分なことはこの空間では自動で行われていきますからね。ただ眠気、睡眠欲だけは寝ないと満たされないんですよ。」
「そっか じゃあ結構コリンももう眠たい感じ?」
「はい 特に今日はあなたとずっと話していたのでいつもの倍以上は疲れていますね。」
「まあ明日もあるし今日はこんくらいで寝るとしますか。って思ったけどベッド一つしかないしなこの部屋。」
「あなたが使っていた寝室をもとにこの空間は作られていますからね。私結構頑張ったんですよ。急に見知らぬとこに連れてこられるのもかわいそうだと思って。自分の中では90点くらいの出来栄えはあると思ってますよ。ただ鏡だったり机だったりはちょっと大きさ違ったりはしてますがね。」
「なるほど じゃあもっと俺好みの形にできちゃったりするわけ。」
「というわけにもいかないんですよ。一度決まっちゃうともう形やら家具やらを変えるのって申請とか通さないといけないので当分無理なんです。」
「え...じゃあ」
「しばらくはこの部屋のままですね。」
おいおいおいおいおい 二人でこの場所にいるのにベッド 机 椅子 一つだけってあんまりじゃないのか。いやまあそもそも同じとこに二人いるのも想定されてないことなんだろうが.....
「あー ちなみにベッドはあなたが使っていいですよ。私はフクロウの姿になれば小さいスペースで眠れますから。あなたはそういうわけにもいかないですしね。」
この場所寒さも暑さも感じない湿度もめっちゃちょうどいいが、俺の寝室を再現しているため床がはっきり言ってめっちゃ硬い。だから...
「なあ コリン」
「なんですか?」
「そのさ...俺たちこの空間で当分過ごしてかないといけないじゃん?そんでもって俺も見た目は自分でいうのもアレだけど悪いとは思ってないわけで...だから..その..一緒に寝ない?」
「邪魔じゃないんですか?邪魔かと思って遠慮して使ってくださいと言ったんですけど。」
まさかの返しに俺が固まってしまった。ということは最初から俺に抱かれ、じゃなくて寝てくれる、じゃなくて寝るつもりだったのか。
「いらない心配してくれてたようですけど、さっきも言った通り別に天使になった以上お互い性別とかあって無いようなもんですし、そういう煩悩も消えてくれますから一緒に寝てようが問題ないと思いますよ。」
俺はこの日から初めて 見た目同世代の超タイプの女性と当分の間同じ寝床で寝ることになってしまった。が、しかし無論まったくもってそういう感情は湧かなかった。
~ライトニング王 王城~
「デッドそろそろ起きんか デッドよ」
誰かがそう呼んでいる 聞き覚えのある声 まぎれもない父の声である。
「おお デッド起きたか。もうすぐ日が昇る その前に剣術の修行を始めるぞ。」
「はいはい お父様。木剣を持っていきますから 広場でお待ちください。」
「全くまだ寝ぼけておるのか。顔を洗って目を覚ましてから来なさい。それと[はい]は一回。」
「はいはい お父様。」
俺はいつものように木剣を持ち眠い目をこすりながらドアに手をかけた その時...
「うん? うわあ!! なんだぁ!!」
情けない声を上げる俺をよそに 持っていた木剣がひとりでに暴れだす。そして俺の脳天めがけて勢いよくその木剣は殴りかかってきたのだった。そのまま俺は目の前が真っ暗になった。
そんな中。俺を呼ぶ声が聞こえた。
「ぇ...ねぇ...ねぇってば...起きてよデッド..」
俺は目を覚ました。
「あっ やっと起きた。全く、もう仕事が始まるからちゃっちゃと起きてよ」
そこには幼い少女が立っていた。