春の寝
木の物がもぎられ落ちて種は咲き
風が運んだ命の光
用もなく訪れた場所賑やかに
春の陽気は僕を笑わす
奈良漬と少しの米と味噌汁で
一日だけの悟りの境地
花明かり母と歩いた公園で
梅にうぐいす遠き香煙
三月の酔っ払い達星回り
朧気な月夜昼遊ぶ
「 悲しい事があったの?」
「違うんだ。自然の音に耳を傾けていたんだ」
「風は笑っていた?」
「まるで子供の様に駆け回っていたよ」
「暖かい陽の光を浴びた?」
「座っているだけで心地良かった」
「いい時間だったね」
「うん。かけがえのない時間だった」
「僕もだよ」
「この時間も最後だって思うと少し悲しくなったのかもしれない」
「僕もだよ」