第4話 ブラックスロット その4
「……………進藤君だけでも、予選を突破してくれ。」
真島は意気消沈してしまい、目も虚ろだった。
「真島さん………。」
進藤が手をあげようとした瞬間、真島が進藤の手を掴んだ。
「大きな声じゃ言えないが、酉と卯の意味がわかっちまったかもしんねぇ……!」
「ほんとですか!?真島さん!」
真島の推測は、“干支”である。
蘭条の“当分は酉”と“最後は卯”の言葉の意味は、たぶん“当分は左”と“最後は右”と言う意味だと真島は推測した。
「なるほど、干支で西は酉=スロットを北とすると左……!卯も同じく干支では東………!」
「物分りが良くて助かる。」
しかしこれは蘭条がスーツに指示した内容を示すだけであり、これが勝つ道に繋がるわけではない。
「でもこれじゃ………。」
「進藤君、言いたいことはわかる、あともう一つ言うことがあるんだ。」
真島は、酉と言われた時、左のリール以外は最初の見えている状態でしか回転をしない、そして卯と行っていた時は右のリール以外が見えている状態でしか回転しないと予想を立てた。
「なるほど………!これで勝てる!」
「いや、勝てないよ、まず百の位で9を合わせるのが至難の業すぎる、しかも、卯に設定されたら、百の位が動かせず、最初から運ゲーになってしまう………!」
進藤は真島の忠告とアドバイスを受け、蘭条に挑戦した。
____40分後
9対4の状況。
蘭条がリードしていたが、進藤の怒涛の4連続勝利でまだまだ決着が着かないままだった。
『………調子が狂う!何だコイツ、おもしれえじゃねぇか!』
蘭条はやや興奮気味にスロットの前に立つ。
『最高点を出してやる、引き分けになれば、両者に点数が振り分けられる!それで俺の勝ちだ!』
座り、リールの数字を見る。
9,1,7。
『張ってたヤマがあたった………!支持道理に………に設定したかいがあった!』
____真島サイド
「進藤君、蘭条とスーツの会話の内容が少し違った、正確には聞き取れなかったが、多分“酉でも卯”でもないと思う。」
「じゃあ、真ん中ってことですか?」
「多分そうだろう、しかしなぜここで………。」
____蘭条サイド
カチッ
カチッ
蘭条は真ん中だけ打たなかった。
『ふーぅ、…………………………………。』
『ここだッ……!』
カチッ
運命の数字の開示………。
9,8,7。
蘭条の無条件勝利だ………。
「進藤君、よくやった。」
「ほんと、すいません………。」
____50人目の挑戦者の勝負の終盤
カチッ
カチッ
カチッ
9,8,1。
蘭条の10対0のストレート勝ち。
結局蘭条に勝てた挑戦者はいなかった。
「この場合はどうなるんだ?3人が定員なはずなんだが?」
真島は疑問に思った、その時、蘭条がマイクを取り話を始めた。
「いまから、2周目を始めます、ただし条件があります。」
50人全員か固唾をのんだ。
「百の位で9、十の位4、一の位2を出した者だけに権利を与えることにします。」
『俺は942以上を3回出しているから、2周目の権利があるのか………!』
真島は3回、進藤は6回、942以上を出しているため、2周目の権利が与えられた。
真島、進藤を含めた6人が再び蘭条との勝負が始まる。
「すいません、真島さん、話があります。」
「何だ?」
「このゲームの必勝法です…………!」
第5話 ブラックスロット その5 へ続く。