第1話 ブラックスロット その1
___東京ドーム跡地
丁度2年前に起きた“東京4区直下型地震”により、東京の文京区、新宿区、千代田区、豊島区に壊滅的な被害をもたらした。
その被害の影響で、東京ドームも崩れ、過去の遺産となってしまっていた。
現在も復興作業が行われており、まだまだ完全体とは言えない状態なのだが……………………。
「んー、おちょくられてんのか?」
真島は地図に示された場所、東京ドーム跡地に到着した。
「おーい!堂島コンポレーションの人間いるかー?」
取り敢えず叫んでみる。
その声が聞こえたのだろうか?跡地からスーツの一張羅をきた、“いかにも”な男が出てきた。
「真島藤十郎様でしょうか?」
ドスの効いた、低い声で話しかけてくる。
「ああ、そうです。」
スーツの男は懐からタブレット端末を取り出し、真島の顔をチラチラ見て、端末を操作していた。
『しっかりしてんなぁ、いやしっかりしすぎてんな。』
真島は10分以上スーツの男が端末を操作しているのを見て、疑問に思った。
「大変お待たせしました、真島様こちらへ。」
ガコン、大きな機械音がした。
なんと、会場は地下にあるのだと言わんばかりに、大きな地下への階段が開かれていた。
「なんと大層な。」
真島は内心焦っていた、ここまで金をかけたギャンブル、賭博だと思っていなかったからだ。
同時に、これ程の施設でする賭博だ、“代償”が無いわけがない。
疑念を抱えながら、長い階段を降りていく。
ついに下が見えた、光が差し込んでいる。
「お。」
真島は言葉を失った。
想像の十倍は広かった、同時に納得した。
だから階段を20分以上下った訳だ。
「スーツの人、ちょっと聞くが、この会場は高さ何メートルなんだ?」
「360メートルです。」
大阪にある300メートルのビルが丸々入る高さだ。
「…………こぇえ。」
____40分後、トーナメント説明会場にて
「ようこそ!賭博王トーナメントへ!」
会場にスポットライトが当てられる。
スポットライトの先には、長身の顎髭を少量生やした、30代の男が立っていた。
どうやらこの男が、堂島コンポレーションに会長らしい。
「この賭博王トーナメントのコンセプトは。」
“他人を蹴落とし、欺き、裏切り、勝利する”
「です。」
その会長の男の言葉を聞いた、招待された有象無象共が固唾を飲む。
「ここに招待された人は、生粋のギャンブラー、賭博師はたまた、パチンコ店に居座る老害パチンカス、親の金で競馬、競艇をするクズ、そして、天才等です。」
おぉ、と感嘆の声がちらほら上がる。
「そう、そのテッペンに立つのが賭博王です!」
うおぉぉぉおおおお!!!
会場にいる全員が興奮と歓喜で大声を張り上げる。
真島もその例である。
「トーナメントとはいっても、これじゃあ人数がおおすぎますよね?なので早速選別と行っても過言ではない、予選を開始したいと思います。」
堂島コンポレーションの会長は賞金やルールの説明をせず、いきなり予選のゲームの説明をしだした。
「予選のギャンブルは、“ブラックスロット”です!」
「ブラックスロット………?」
聞いたことのない博打だった、とはいえ当たり前だろう。
世に出回っている普通の博打だったら、対策ができてしまう。
オリジナルギャンブルを作るのは当たり前だろう。
「早速ルール説明をいたします。」
ブラックスロットのルール
・特別に設計されたスロットでプレイする。
・挑戦者対堂島コンポレーションの幹部との勝負。
・スロット出るの数字は1から9まで、柄物はない。
・左のリール(回転する所)から百の位、十の位、一の位とする。
・どこかのリールで出た数字は他のリールでは出ない。
・最初の5秒間だけスロットの番号を見れる。(ただし回転している状態のもの。)
・5秒を過ぎればリール前が暗転して数字が見えなくなる。
・好きなタイミングでボタンを押して良い。
・出た数字が大きい方が勝ち。
・これの10本先取。
「ルール大体このような感じです。」
真島は急いで頭の中でルール、そして勝利条件を整理していた。
『つまり、このスロットでは3つのリールで同じ数が出ないから最大値は百の位で9、十の位で8、一の位で7ってことで、逆は1,2,3か。』
「じゃあ、20グループに分かれてください!」
1グループ50人の中から3人だけ勝ち残れる。
その3人のなかに真島は入れるのか不安だった。
____グループ4のギャンブル場
「貴方達挑戦者の相手をさせて頂きます、蘭条と申します。」
スラッとした中肉中背の優男がスロットの前に立った。
「もう、言うこともないでしょう、早速始めましょうか。」
勢いよく手を上げ立候補した男がいた。
第一挑戦者は勢いよく手を上げた男、橘慶太に決まった。
「まず、他の奴らを観察しないと。」
真島は勝負を観戦し、対策をねることにした。
が、ダメ。
ついに蘭条に負けた挑戦者が20人に達した。
「…………ッ!蘭条っていう奴、やばすぎる、全部出した数字が954以上だ………!」
真島は20戦、蘭条の200通りのスロットの打ち方を観察したが、打ち方に規則性がなく、時間をかけじっくり打つ。
それくらいしか分からなかった。
「このままじゃ、このゲームを完全に理解しきっていない俺達が不利すぎる………!」
真島は一人で蘭条に対抗するすべは無いと考えた。
きっと同じ考えの奴が何処かにいるはずだ………!探せ………!
同じようにキョロキョロ動き回ってるはずだ…………!!
……………いた………!
第2話ブラックスロットその2へ続く