三題噺第7弾「おもちゃ」「テレビ」「禁じられた枝」
私たちは長年、この枝の魔力を使い続けている。
その影響で、徐々に魔法の効果が薄れているのがわかる。
村人たちは話し合った。今後、枝の魔力を使うべきか封印するべきか。
意見は対立し、村の中でも内戦が起きるのではないかとさえ感じた。
そしてある時、事件が起きる。
なんと、いつものところに魔力の枝がないではないか!
誰かが盗みを働いたに違いない!
村人総出で犯人探しが始まった。
中には過激なものもいる。
『盗んだやつは晒し首だ!』
という人もいるくらい殺伐としている。
皆、冷静さを失って、怒りのエネルギーにこの村は満ち溢れてしまった。
このままではいけない。
と感じた三人の若者は前々から密かに、禁じられた枝の魔力を使って、自分自身の中にある魔力を制御することに成功していた。
このことは、三人だけの秘密としている。
こういうことができてしまうと、あの枝はいらなくなり、人の傲慢さ、無自覚な欲望、悪しき心を持った人の暴走を止める手段がなくなってしまうと感じたからだ。
三人の若者たちは、得意な魔法がそれぞれあり、苦手の魔法もそれぞれあり、お互いが補い合って、ついに禁じられた枝の在り処を見つけだした。
なくなってしまった真相は、野生の猿による犯行。
村人たちは疑心暗鬼になり、誰かが盗んだと勝手に思い込み、殺人までおきるすんでのところでみつけだした。
だが、三人の若者は村人全員から糾弾される。
『お前らが犯人だったんだな』
『そうだと思ったよ、こいつら、こそこそ何かしてたもの』
『殺せ! 晒し首だ!』
この人たちにはもう、何を言っても通用しない。
私たちは大人の悪しき心を見て、苛まれ枝も分捕られ、縛りあげられた。
ある過激の人がこう告げた時は、自分たちの魔法でこの村を業火に包んでやろうかとさえ思った。
『いい機会だ。火やぶりの刑っていうのはどうだ?』
『いいね、やれやれ!』
『盗んだ奴には制裁を!』
『よーし、俺が使いこなしてやる!」
しかし禁じられた枝の魔力は、この男には使いこなせなかった。
『なぜだ! なぜ、火が出ない! そうか、こいつらがこの枝の魔力を全部使いやがったんだ!』
『まぁ、なんていけない子たちなのかしら。親がいないとダメね』
『ふんっ、こんな使えない枝、炎の着火剤代わりにしてやる』
そのとき、堪忍袋の尾が切れた一人の若者が魔法を使ってしまった。
『てめぇら、いいかげん死ね!』
村人は、次々に喉を抑え倒れていく。
空気を操った魔法のようだ。
私たち三人は、こんな大人たちにはならないことを決心し、どこか人目につかないひっそりとした場所で生きていこうと決めた。
だが、三人というのがいけなかった。
男二人に女一人。
どういう事が起きるかわかる人にはわかるだろう。
こうして今も、自分の行いに苦悩し続けて、あの子が大好きだったおもちゃを握りしめ、テレビで情勢を監視し続けている。
あんな悲しい事が起きてしまうくらいなら、ひとりぼっちでいい。その方が傷つかなくて済むから。