第一話 星の海
注意:この物語は選択型小説です。物語の節目に選択が出てくるのでお好きな方へとお進みください。
少しだけ特殊な小説になります。
彼に出会った時に不意にも理想的と感じてしまった、アカネは見た目で判断しないと自負していたが、それでも彼の容姿には目を離せなかった。それらの邪な気持ちがあっただろうか禁忌とされる漂流者と関わる行為。基、助けてしまった。
海星と呼ばれている私の世界は九割は海で支配されている、それもただの海ではない。塩分が含まれている海の伝承を聞いたことがあるが、それらの海だったらどれだけ宝の山であろうか。ドラゴンやグリフォンと変わらない創造物である。海星の海には魔力と呼ばれているものが混ざっており、飲んだら魔力が身体を侵して死に至るし。触れたら火傷のような症状になるし、海には魔物と呼ばれる狂暴な動物が生息している。
即ち、アカネの種族【海歌】の天敵である。そんな海から漂流している者が真面な者であるはずがない、そう考えた長老達が安全策の掟として漂流物・漂流者と関わる行為を一切禁じるのも理解できる。
アカネは海歌の中では特異な存在である。
海が危険な代物であると認識が甘かった時に両親が目を離した隙に海への興味で近づき、触れたが生まれつき、それとも何らかの加護が備わっていたのか海に特に何も晒されることなく触れることができる唯一の存在である。そんなアカネが奇異な目で見られることは分かりきっていた、そしてその特別な力は恐怖となり伝染した。
そのまま処刑などが妥当な案と島に住んでいる者たちは考えた。
だが、それを阻止したのは両親である。両親に明るく、優しく、暖かく育てられたアカネは稀有となった存在であっても両親だけは見捨てなかった。だが、それは逃がす時間を作るだけではあったが、こうやって今も生存しているのは両親のおかげであろう。
だから、島の掟はあれどアカネには関係は無かったのであろう。
今は歳にして十六になる、生活は質素と呼ぶに相応しいであろう。島に住んでいる者たちも一部を除いて裕福な生活をしているわけではない。限られた土地で限られた作物を育てて、それらを領主に奪われながら生活している。だから、その者たちの食い扶持を減らすような行動はいくら両親を殺した者たちであろうと、盗みをするのは躊躇っていた。だが幸いというか不幸にもと言うべきか、アカネの特殊な体質のおかげで海に入ることができ。そこで生きている魔物も弱い生物から、強い生物までいることが理解でき、弱い生物に狙いを定め。海で吸収した魔力で生み出した魔法で獲物を確保している。
盗みをせずに出来たことを少し安堵している時に、次の問題が降りかかる。
食料は確保できるが、衣・住の問題に直面した。
島の者たちも全てがアカネを追い出そうと、殺そうとしているわけではない。変わり者はどこにでも存在しているように、アカネに衣服や食料を提供してくれる者が現れた、それらは両親が築いてきた人脈による者たちである。両親は島の中では立ち位置的には身分がそこそこ高かったみたいで、その恩恵を受けて命を生活を家族を守れた者たちはアカネに協力的であったといえよう。
そういう者達にも家族が、守る者たちがいることは言うまでもない。
両親のおかげで守られた家族達を両親の娘が壊すわけにはいかないし、それは協力者たちも重々承知であろう。だから、精々協力者が出来たのは食料と衣服の提供が限界であろう。
それでもそれを初めて他人からの意図を暖かく感じた。
残りは住居のみだが、これに関しては無理であろう。
追われる者である、アカネは定住を持つことは不可能だ。だが、海に近づいてはいけないという掟があるおかげで海に近ければ近い程、追う者は少ない。ここ数年はアカネのことなど忘れたのか住居も変わらず襲われることも無くなった。でも、海に近いということは嵐などが来ただけで、波が高くなり、浜辺の砂が舞う。とても外で洗濯物などできない。
そして、そんな嵐であった。
あの男が流れ着いたのは。




