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青い空の下で

作者: 黒龍院如水

  北米の荒野に、キムラ三姉妹は立っていた。


 長女のナミカは白地に富士の浴衣を着ている。

 身長170センチ、体重80キロ。


 次女のエマは名前の入った白いジャージを着ている。

 身長175センチ、体重75キロ。


 三女のケイトはシルバーのスーツに赤いパンプス。

 身長172センチ、体重90キロ。


 対峙する戦闘用アンドロイドは100体、

 全員が、民間用を偽装するためにショッピングモール

 の総合案内にいるような白を基調とした制服を着ている。


 空だけが、異様に青かった。


  ナミカが、黒いツボのようなものを置く。

 ウーンと低い回転音が響く。ツボの口から何かが

 次々と飛び出しているようだが、見えない。

 光学迷彩の映像ドローンだ。


「ケイト、拳突いてみ」

 ケイトが拳を軽く突き出すと、青く小さな龍が現れ

 回転し、上方へ昇りながら消えていく。


 アンドロイドが間合いを詰めてくる。

 アンドロイド側が持っている情報では、次女の

 エマと三女のケイトが世界的にも有名な格闘家、

 長女のナミカは舞台役者だ。


 エマとケイトを左右に、ナミカが仁王立ちしている。

 

「始めるか」

 

 そのナミカの言葉が終わらないうちに、エマと

 ケイトが飛び出す。同時に巨大な青い龍が現れ、

 アンドロイドたちの間を縫う。


「AIが賢すぎるんだよ」


 言い捨てるナミカ。青龍の3D映像に、コンマ数秒

 気を取られるアンドロイドたち。


 瞬間鈍い音とともにケイトの肘撃ちを正面から

 受けて、アンドロイド一台が沈む。


 その向こうでエマのハイキックが一閃し、また

 一台沈む。


 ケイトの体当たり、エマの右フック、ケイトの

 頭突き、エマの投げ、ケイトのローキック、

 エマの飛び十字関節。

 次々と機体が動かなくなる。そのたびに

 龍が飛び出しては次のターゲットを牽制する。

 

 思いついたかのように一台のアンドロイドが

 タックルに行くが、ケイトのヒザ蹴りに沈む。

 

 アンドロイド達が押される度に、ナミカが

 歩いて進む。雪駄の足に荒野の砂がかかる。

 

「面倒くさいね、掌打使おうか」

 

 エマとケイトの、フェイントからの胴体中央への

 掌打により、さらに早い速度で制服たちが

 機能停止していく。巨大な青い龍がいくつも

 現れて消えていく。

 

  最後の三体になった。どうやら特殊タイプだ。

 黒い戦闘装甲に身を包んでいる。

 

「特殊型のお出ましか。私もやるよ」

 

 ナミカが浴衣を脱ぐと、その下は青い戦闘着だ。

 エマとケイトも来ているものを脱ぎ捨て、

 青の戦闘着となる。ケイトはパンプスも脱いだ。

 

 先にエマとケイトが仕掛ける。二匹の巨大な

 青龍が天に昇ろうとしたとき、ナミカが動いた。

 

 速い。


 しかし、フェイントだった、中央の特殊型は

 いなされて背中を見せてしまう。

 そこにナミカの双掌が入り、機体は顔から

 砂地へ悶絶する。ひと際大きな龍が飛び立つ。

 

 そのあと、アンドロイド達が数的不利を覆すことは

 不可能だった。一台ずつ、機能を停止する。

 三人の中で、ナミカが一番強いのが彼らの誤算だった。

 

 青龍がもはや消え、彼女らの戦闘着は全身

 砂ぼこりにまみれている。

 

 空だけが、再び青かった。


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