#9 ライカたちの一日、平和な日々の終わり
「紅葉は何か買えたのか?」
あの後、ライカと紅葉はシアとは男子寮と女子寮の岐路で別れた。そしてライカたちは男子寮のライカの部屋に帰った。
「はい。櫛やその他の必要な物は買えました。これも主様とシアさんのお陰です」
紅葉は嬉しそうに微笑みながらそう言った。
そうか、それはよかった。・・・・しかし、いつになったらヴェルネアさんは紅葉用の部屋を用意してくれるんだろうか・・・・・・。昨日も今日も帰ってきたら男子から紅葉との関係について質問攻めに遭ったからな・・・。
寮は男子寮と女子寮で一人一部屋を貰える。他には部屋でも料理ができるようにと言う気配りなのか台所も常設されている。基本的には皆、共同の食堂で食事をするが。
紅葉も連れてくとまた質問攻めにあいそうだなぁ・・・でもだからと言って置いて行くわけにはいかないし・・・・。
ライカが「どうしたもんかなぁ・・・」と悩んでいたところを紅葉が話しかけた。
「小さくなればいいんですか?」
紅葉に急に話しかけられ俺はビクッとなった。
・・・心臓止まるかと思った。
「まあ、そうだな・・・・なれるのか?」
「はい。でも、あまり長くは出来ないんですが」
「まあ、食ったらすぐに戻ってくるつもりだから大丈夫かな。じゃあ、なってくれるか?」
「はい!では」
それだけ言うとポンッという音がする。煙の様なものが晴れたなか、そこには先程まで紅葉がいたところには一匹の神々しい狐がいた。よく見ると尻尾が三本ある。
『聞こえますか、主様?』
と、狐から紅葉の声が聞こえてくる。いや、聞こえるというより脳内に直接話しかけられている、とでも言うのかな?
「あ、ああ。聞こえてるよ。と言うか、凄いな・・・テレパシーってやつか?」
しかし、こうなってくると紅葉が一体何者なのか疑問が増す。
狐や人の姿に変化できたり、こうしてテレパシーを使って会話をすることが出来る。そして、紅葉自身も剣の扱いにも長けている。
神獣ならばテレパシーで会話出来るという話しは聞いたことがあるが、そこに変化も出来るというのは初めて知った。
・・・・・・いや、紅葉が特殊なだけなのか?まあいいや。取り敢えずそろそろ食堂に向かうか。
他にも質問したいことがあったが、一先ず夕飯を摂ることにした。
「紅葉はその姿でも普通に食ったり飲んだり出来るのか?」
俺は紅葉(神獣の姿)に気になったことを聞いてみた。
やっぱり姿が変わると食べれる物も変わるんじゃないか・・・と言う不安のようなものがあった。
『いえ、普通に物は食べれますので心配しいで下さい』
紅葉はライカの心配を無くすようにそう言った。
そうなのか・・・なら心配はないかな?
と、そんな会話?をしながら食堂に向かった。
そして、ライカと紅葉が食堂に着き、通常通り夕飯を受け、食べ終わった頃にシアが食堂に来た。
「あ、ライカ君と・・・あれ?そこにいる狐は・・・?」
「あれ?シアさん?」
まあ、見慣れない動物を見ればそうなるか。
『どうも。シアさん』
紅葉が部屋でやった時のようにテレパシーで挨拶をした。
でも今回は脳に語りかけるようなものではなく、直接会話をするかの様に声を発していた。
それスゲェな。
「も、もしかしてその声は紅葉さん?姿が変わってるけどそれも紅葉さんの力ですか?」
明らかにシアさんは混乱していた。まあ、突然先程まで会話してた人間(?)の姿が変わってたら驚くか。
「シアさんも飯?」
「はい。歩き回って流石にお腹も空きましたし、時間的にも丁度いいかなって」
シアさんは「ちょっと食い意地はってるかな」と苦笑いしながら呟いていたが、そこまででもなくないかなぁ・・・。
「取り敢えず前に座ったら?立ってるのも大変だろうし、第一折角の料理が冷めるし」
立ちっぱなしでシアさんが話ていたのを忘れていた。
座るよう聞いてみた。それにシアさんは「うん。そうだね。じゃあお邪魔しちゃおうかな」と言って座った。
こうして、ライカとシア、紅葉の賑やかな夕飯が始まった。
―――この時のライカたちはまさかあんなことが起こるだなんて思ってもいなかったのだった・・・・・・。
やっと執筆終わりました(;´・ω・)学校の卒業式の準備やら何やらで忙しく、執筆を進めないと・・・と思いつつも疲れ果てて書けてませんでした。
なのでやっと書けたと言う気持ちの方があります(笑)
タイトルで予想がつくと思いますが、第二章は今回で終わりです。次回から更に動き出す物語をお楽しみに!(期待に応えられるかは分かりません)