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魔法剣士と神々の終末戦争(ラグナロク)  作者: 神代朧月
第一章 戦いの開幕
4/11

#4 餓鬼と代償


 少女はゆっくりとこちらを向き口を開き、問いかけてきた。


「貴方が私を召喚()んだのですか?」


 それはとても綺麗で、鈴の音の様に透き通った声をしていて尚且つはっきりと聞こえる。先程、夢現(ゆめうつつ)の中で聞いた声と全く同じであった。


「あ、ああ。お前はさっき俺に召喚術の術式を俺に脳に流して教えてくれた奴で合ってるのか?」

 召喚陣から出てきたのだから他の人間が呼んでいないところを見るかぎり合ってるのだが、なんとなく先程受けた印象と違ったのだ。

 ライカが訝しげに目の前の少女を見ていると少女は答えた。


「ええ。そうですよ」

 薄く、優しげに笑みを浮かべそう答えた。そして少女は視線をライカが向けている方角に向けると、不思議そうに眉を上げた。


「へえ・・・・・・。『餓鬼』?人間が従えられる程奴らも弱くはないはずだけど・・・・・。あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね」

「?自己紹介?」

 あれ?霊獣って名前は無いはずじゃなかったか?だから主になる者が名前を付け、それで完全に主従契約を完了させるんじゃなかったかな。


「グギャア!!・・・・・・ガ・・・ア」

 少女が襲いかかってきた『餓鬼』を見ずに殺した。

すげぇ・・・・・・。


「はぁ・・・・自己紹介を済ませようとしてたのに。邪魔しないでくれるかしら?」

 いい笑顔で『餓鬼』の群れに向かって言った。まあ、目が笑ってなかったが。

「さて、細かい話はまた後で。兎に角今は餓鬼(こいつら)の始末をしないといけませんね。」

「もう少し砕けた感じでいいよ?」

「そう?じゃ、お言葉に甘えて。私は九尾の紅葉(くれは)。まずはこいつらを片付けましょ?」

 少女・・・・・・紅葉はそう言うと先程のように近づかずに遠くの餓鬼を殺していた。正しく蹂躙(じゅうりん)だった。


「これで、終わり!!」

 一言そう言い放つと今まで餓鬼が溢れかえっていた場所には紅葉と俺、そしてゼフィロスに気絶している二人しかいなくなっていた。


「何なのだ・・・・貴様は・・・・・・!!」

 ゼフィロスは悔しそうに顔を(しか)め、紅葉を睨めつけていた。

 それに対してさして気にした素振りも見せずに答えた。


「何なのだ・・・・て。私からしたらお主の方が何者かを聞きたいくらいなのだけれど・・・・まあ、いいか。妾は九尾。霊獣ではなく神霊よ。では聞き返そう。お主は何者だ?いくら大きな代償を払っているからと言っても人間が餓鬼を従えることなぞ不可能に近い。餓鬼は死霊だ。代償となると『生命(いのち)』だが、あの餓鬼のことだからそれだけでは済まないわよ。恐らくは真の代償は『身体機能全て』。それらを乗っ取られれば魂は死なずに、普通に生きてることもできない。そんな地獄を永遠に味わうことになるわ」


 へぇ、流石神霊。その辺りの知識もあるのか。ん?そういえばあいつらに弱点とかあるのか?

「なあ、弱点とかあったりするのか?」

「んー。餓鬼は霊獣じゃないから通常の武装召喚で編んだ武器じゃ傷一つ付けることも適わないかも。『神力』さえあればサクッと倒せるけど・・・まあ、人間が持ってるわけじゃないし。持っていたとしてもそれは、人間じゃない何か」

 なんか嫌な予感が・・・・・。

「つ、つまり?」

「常人では近づくことも出来ずにお陀仏(だぶつ)ですね」


 やっぱり!!だと思ったよ!!!でも、倒さなきゃ更に酷いことになるし・・・・・・。

 よし、『賭け』だけど聞いてみるか。

「なあ、紅葉にも『神力』ってあるのか?それか、『神力』に匹敵する力とか」

「うーん。無いことはないのだけれど・・・人の身に与えるにはかなりの負荷が掛かる可能性が・・・」

「それでも構わない。頼む!力をくれとは言わないから貸してくれ!この場を凌ぐには必要なんだ」

 真面目な顔で真剣に頼み込む。それを少し困ったような表情で・・・。


「ふぅ・・・仕方ないですね。でも、あくまで『退ける』だけ。倒そうとなんて考えないこと。使い魔の力を借りて主が死ぬなんてことは御免ですからね?」

「ありがとう。分かった、無理はしない。」

 力を貸してくれると言う紅葉の言葉に俺も目一杯の感謝でお礼を言う。


「フ、フハハはははハハは!!!!友情、というやつかな?綺麗だなぁ?・・・美しいなぁ・・・・・・。だが、そんなものは邪魔でしかない」

 ゼフィロスは今までの中でも一番の不機嫌な顔で毒づいた。


「ゼフィロス!!お前は今友情などをを馬鹿にしたな。今からその馬鹿にした力でお前を討つ!!!」

 俺はゼフィロスに向ける紅葉の怒りを引き継ぎ、自身の武装召喚(ソウルバースト)で編んだ武器である愛刀『鋼鉄(くろがね)』を向けて言った。

 その言葉にゼフィロスは機嫌を損ねるでもなくむしろ、機嫌が良さそうに笑った。


「やれるものならやってみろ!!!ライカ・キリシマと九尾の小娘ぇ!!」

 ゼフィロスがそう叫ぶと、地面から先程紅葉が屠った餓鬼が先程の倍以上で現れた。

 その内の一体がこちらに攻撃を仕掛けてきた。それを紅葉は難なく対処する。


「行け!奴らを殺せ!そして喰らえ!!」

 ゼフィロスの一言で始まった。

 ライカの使い魔を従えた、初の戦闘が・・・。



         ―――――シア目線―――――


 う、ううん・・・・・あれ?・・・・・ああ、気絶しちゃってたんだ、私。

 もしかしてあそこで戦ってるのってライカ君!?・・・と、女の子?


 シアが目にしたのは尻尾がある女の子だった。その娘はシアたちと背丈などがそこまで変わらないのにも関わらず、人のような形をした化け物と対等・・・・いや、化け物よりも強く、シアは目を見張った。


「凄い・・・」

 優雅且つ大胆。シアは最初にそう感じた。

 我流の様な剣さばきなのに隙がない。隙はあるのだが、それは隙に見せかけた罠だった。

 異形はそこへ振りかかり、罠に嵌った異形は少女に両断された。


「うっ・・・・・・」

 しかし、シアはまだ快復した訳ではない。

 少し体を起こそうとした途端、先程気絶した時のだろうか。脇腹と鳩尾(みぞおち)が激しく痛み、そのまま再び意識を手放した。

今回は少し短い・・・ですかね?キリがいいところで区切ろうとしたら結構短くなってしまいました(;^ω^)次回からは、もう少し長くできるように精進していこうと思っている所存です。最近寒くなってきましたが、風邪を引かぬようにしてくださいね。ではでは、また次話で。

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