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家電戦争 《Appliance War》  作者: 黒川 想流
炎怒編 (前編)
9/26

9話 恐ろしい先生と不登校少年

何かラブコメになっちゃってる。

----四時限目----


その後、結局チャイムが鳴るまで風音先生は俺から離れる事は無かった。


それとその時もう一つ気になっていた事を聞いた。



『そういえば、こんな時期に教師になるなんてそんな事よく出来ましたね?』


『んー? そりゃ能力があればイチコロよ』


『能力使って何したんですか…』


『それは…』



その先は思いだすだけで鳥肌が立つ…


やはり風音先生は素性が恐ろしいのかもしれない。


出来るだけ距離を保つべきかな…


そんな事を考えていると授業の終わりを告げるチャイムの音が教室に鳴り響いた。


それと同時にガラッとドアの開く音が聞こえた。


「炎怒くん! 一緒にご飯食べよ!!」と教室に入りながら素性が恐ろしいであろう、


風音先生はそう笑顔で言ってきた。


これは逃げるべきか…


そう思っていた時にはもう彼女は目の前に居た。


「来るの早っ」と俺はやはりツッコミを入れてしまう。


「風の能力者なんだからね…? お忘れなく♪」


いや、風をどういう使い方したんだよ…


やっぱいろいろ恐ろしいよ、この人…


「とりあえず人の少ない場所で食べましょう?」と俺は他の人の目線が気になるからそう誘った。


「えっ…! もしかしてそこであんな事やこんな事を…!?」と風音先生はもじもじしながら呟いていた。


この人やっぱりやばい人だよな…


「今やばい人だと思ったでしょ?」


「いや、思ってないですよ?」


うん、やっぱ恐ろしいよ…この人は…



とりあえず定番は屋上だろうという事で風音先生と共に来る途中で会った涼も連れて屋上へ来た。


「炎怒くん! はい、あーん」


「いや、そういうの本当にやめてください」


噂されるとまた大変な事になるからさ…


「炎怒… お前いつから風音さんとそんな仲良くなったんだよ…」と目の前で俺達のイチャイチャ(不可抗力)を見せられていた涼は聞いてくる。


「俺が聞きたいんだけどな…」


俺には何故こうなったのか全く分からない。


もし神様が居たなら間違いなく俺は今の状況の説明をしてもらうだろう。


「ごめんね、皆瀬くん? 炎怒くんを独り占めしちゃって…」


俺は絶対誰かの物にならなきゃいけないの?


「ズルいですよ! 炎怒は俺の物ですよ!」


「いや、お前はキモい」


男からは流石に無理だ。生理的に。


「お前『は』って事はあたしは可愛いって事!?」と風音先生は揚げ足を取るように言ってくる。


もうこれは反応してしまったら負けなんだろう。


やはり異常な人には無視に限る。


「ちょっ…無視は酷いよぉ…! 炎怒くん…」


そう悲しそうな顔をされると俺の良心が痛む…


「そんなクールな炎怒くんもカッコいいけど…!」


前言撤回。 全然痛まないです。


「あっ、そういえばさ、もしかしたら次の能力者かもしれない当てがあるんだけど…」と風音先生は突然思いだしたかのように言う。


その瞬間、俺と涼は目の色を変えたように、風音先生の方を見る。


「あー、直感よ? 直感だからあんまり信じ込まないでね?」と風音先生は念を押してくる。


俺と涼は早くその情報を教えてもらおうと、黙って頷いていた。


俺と涼が能力者を確認するのはもちろん戦いたい訳ではない。


その真逆で戦いたくないからこそ知っておきたい。


もし仲良くなれれば戦わずに済むし、何か情報が手に入れば、こんな能力の世界を終わらせられるかもしれない。


だから、俺達は新しい情報が欲しかった。


「皆瀬くんが居るクラスに今不登校の男子生徒が居るのは知ってる?」と風音先生は涼の方を見て聞いている。


涼は「あぁ、居ますね。そういえばずっとあの席空いてたな」と思い返すように頷きながらそう言い返す。


「その子の名前は頼堂(らいどう) 翔太(しょうた)。 その子が不登校になってるのは、4日前からなの」と風音先生は真面目な顔で言う。


4日前…


「能力が発現した日…」


俺はそう呟いた。


「もしかして彼も能力が発現したから学校に来てないんじゃないかと思って」


風音先生の直感とやらはそれだったらしい。


「なるほど… 確かにそれは在りえますね…」


それまで来ていた人があの日から来ないなんて。


それでただ風邪引いただけとかだったら、タイミング良すぎるな…


「でしょ…? やっぱあたしの考え正しいよね!ねぇ炎怒くん!褒めて褒めて!」


と風音先生は俺の肩に身を寄せて言ってくる。


何で頭が良いはずのこの人はこんなにも馬鹿っぽいんだろう…


「はいはい… 偉いですね風音先生…」と言って仕方なく頭を撫でる。


「先生も要らないよ…? 風音って呼んで?」と俺の肩に身を寄せたまま風音先生は上目遣いでそう言ってきた。


「ふ…っ…だから今は先生なんですよ? 自覚あるんですか…?」


危ない…危うくその可愛らしさに惹かれて、風音先生の思い通りになるところだった。


やっぱり恐ろしいなこの人は…いろいろと…


そんな時、風音先生を引き離すようにチャイムは鳴り響いた。



次回は不登校少年 「頼堂 翔太」を探す話です。

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