6話 親友
何とか前回のヒントを活かせれました…
彼女は手を突き出した。
その瞬間、槍のように枝は飛んできた。
炎を出さなきゃ死ぬ…!
そう分かっているが、炎は出なかった。
死んだ… そう思った時だった。
左の方からビシュっと水の音が聞こえた。
その瞬間、目の前にレーザーのように真っ直ぐ水が飛んできた。
その水は飛んできていた木の枝を吹き飛ばした。
音がした方を見るとそこには親友の姿があった。
「涼…!」
俺は思わず彼の名を呟いた。
「あんたの技が一通り分かるまでは様子見ようと思ってな、悪い、お前まで騙すような真似して」
そこに立っていた涼は申し訳なさそうにそう言った。
「あんたがさっき逃げたやつ?ってかしょぼそうな水飛ばしてたけど、あんたもこの力を持ってんの?」と彼女は涼の方を向いて問い詰める。
涼はここで案外負けず劣らず煽っていく。
「あぁ、そのしょぼそうな水に攻撃を弾かれたあんたと同じような能力を俺も持ってるぜ」
俺はこの時、涼をカッコいいじゃねぇかと思った。
「あんたナメてんの? ぶっ殺すわよ?」
彼女は最高に怒っていた。
恐らく俺は怒らせるのが作戦なんだろう。
そう思ったから止めはしなかった。
「あぁ、ナメてるよ、俺達ならお前に勝てるからな」と涼はどんどん挑発する。
「じゃあやってみなさいよ!!」と彼女は叫ぶと同時に飛ばされた木の枝を、浮かせると同時に涼の方へ飛ばす。
「あぁ、やってやるよ」と涼は言って煙草の火を消したときのように、手を拳銃の形にした。
だが、今度は前とは違う点がある。
片手ではなく両手ともその形にしていた。
そして、耳に響くキュインという高音と共にその手の拳銃から、ライフル弾のように細長い水を出していた。
その水は、木の枝を一瞬にして砕いた。
そうか、あの水はサイズを小さくさせて限界まで水圧を強くさせた言わばウォーターカッターなんだ… ウォータージェットとも言われるらしいが、この力なら間違いなく彼女の力に匹敵する…
あれ… 俺の能力だけ弱くない…?
いや、今はそんな事を考えてる場合じゃない。
彼女のリーヴァー?とかいう落ち葉カッターも木の槍も涼のあれなら撃ち落せる…
これは結構有利な状況になった…!
「こっちも攻めさせて貰うぜ…!」と涼は如何にもなドヤ顔でそう言っていた。
あいつ絶対調子乗ってるだろ。
いや、でも勝つためだ…調子に乗ってもらうか…
そして涼はその台詞と共に、レーザーのようなその弾を連射した。
しかし、有利な状況はすぐに一転する。
突然、俺の身体は涼の方へ飛ばされた。
さっきの傷が動くたびに痛む。
その痛みに耐えつつも、何が起きたのかと緑髪の彼女の方を見てみると、彼女の周りには竜巻が起きていた。
竜巻の中心部で彼女は仁王立ちしていた。
「なんだよあれ…!?」
俺は驚きのあまり、その感情を隠せない。
「これはあたしの最終奥義… リーフシールドよ!」
「いや、その名前はまずいだろ!!」
俺のツッコミ魂が勝手に俺を喋らせる。
どこかの青い岩男の装備じゃないんだから…ってか足痛いのに普通に喋れてたよ。
恐ろしきツッコミ魂。
「あっ、そうね、疾風の盾<テンペストシールド>よ」
普通の名前あるじゃねぇか… 何でさっきふざけたんだよ…
そんなやり取りをしていた時でも、涼は水の弾を連射していた。
だが、全て弾かれていた。
「何だよあれ!全然効かねぇぞ!」と涼は怒るように言っていた。
「あたしの疾風の盾はこの風が、どんな物でも弾くのよ!!」とその風の中に居る彼女は結構な大声で言っている。
風の音のせいで大声出さないと聞こえないと思っているのだろう。
その謎の親切さに感謝するよ。
「くっそ… どうすりゃいいんだ…」と涼は頭を抱えるように呟いた。
風の盾… 風…?
俺は一つ勝てるかもしれない作戦を思いついた。
その作戦の確認で彼女の上を確認する。
足の痛みを我慢しながらも立って涼の耳元で、その作戦を話す。
「…ってやればいけるんじゃないか…?」
「それに賭けるしかねぇな…!」
涼は俺の作戦に乗ってくれた。
そしてすぐさまその作戦を実行する。
俺達は全力で炎の球と水の弾をぶつける。
俺は動けないからその場に立ってひたすら炎の球を投げた。
涼は後ろに回り込んで水の弾を撃っていた。
しかし1発もダメージを負わせる事はなかった。
「無駄無駄! 数で押せるもんじゃないわよ!」と風の中に居る彼女は言ってきた。
残念ながらまだこちらの作戦は続いているぞ。
涼はまた走って今度は俺の横に来た。
そして、俺達は2人で同時に炎と水を放射した。
その炎と水が彼女の風に当たった瞬間、涼の水を俺の炎で蒸発させた。
「何やってんの…?」と彼女が呟いた。
これでおそらく勝った。
「涼教えてやれ」と俺はニヤっとしながら言う。
そして涼は右手を真っ直ぐ上に上げ、彼女を見下すようにこう言った。
「水蒸気は冷やせば水になるんだぜ…?」
そう言われた瞬間、彼女は上を向いた。
それと同時に涼は手を振りかざす。
すると彼女の風で上に上がっていた水蒸気は一瞬で水の弾に変わり、彼女に降り注ぐ。
「きゃああああああああああああああ!!」
彼女の悲鳴と共に風の音は止んだ。
緑髪の彼女はどうなったのか、彼女はどういう人なのか… それは7話で分かっていきます。