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家電戦争 《Appliance War》  作者: 黒川 想流
炎怒編 (前編)
14/26

14話 大切なたった一人の親友

炎怒編の前編最後となります。

---翌日---


俺は早く涼に会いたかった。


どうせ、新作のゲームでも買いに行ってたとか言って笑い話になるんだろ、と思ってたが、とりあえず会いたかった。


俺はまだ左手や体全身の筋肉痛が痛むが、とりあえず学校に行きたかった。


それが一番早く会えると思ったからだ。


本来は何週間か安静にしておくべきらしいが、今はそれどころじゃなかった。


学校に着いて涼のクラスの前で彼を待つ。


しかし、もう一時限目の授業が始まるというのに、まだ彼は来ない。


そして一時限目の授業の始まるチャイムは鳴った。


いや、休んでるだけだろ。どうせそうに決まってる。


そう思って俺は自分の教室に戻る。


そして少し経った時、風音先生はドアを開けて入ってきた。


しかし、彼女は涙を流していた。


何があったんだろう…?


と気になったが、すぐに俺の嫌な予感と合致した。


「皆さんに悪いニュースがあります…隣のクラスの皆瀬 涼くんが… 昨日、お亡くなりになられました…」と風音先生は涙を増しながら言った。


話によると頭と右腕が無い彼の遺体が見つかったらしい。


近くには氷が砕けたような痕があったらしい。


間違いなく噂の殺人鬼の仕業なんだろう。


それだけを伝えて、彼女は教室を出て行った。


クラスの皆は「嘘だろ…?」とか「マジか…」などと騒然としていた。


でも俺は声も出なかった。


あいつが死んだ…?


いつもちゃらけてるあいつが…?


小学校の頃から一緒のあいつが…?


嘘だろ… そんな事ありえねぇよ…


俺はみんなの前だから涙は流せなかった。


「炎怒くん」と教室の入り口付近から声が聞こえた。


そこを見ると、風音先生が立っていて、俺を手招きしていた。


俺は何だろうと思いながら、風音先生の元へ向かった。



何ですかと言おうとして、「なんでs…」


そこまで言った時だった。


風音先生は急に俺を抱きしめた。


胸に頭が埋まるように。


驚いたが、すぐに意味は察した。


「我慢しなくていいんだよ…」と風音先生は俺に囁いた。


恐らく皆の前で泣けない状況を察してくれたんだろう。


その言葉で俺は涙を堪えられなくなった。


「うっ…うわぁぁぁ…!」


声を漏らし、涙を流しながらただ泣いた。


彼女の服が汚れてしまう。


そう分かっていたけど、止まらなかった。


俺はひたすら彼女の胸を借りて泣いた。


その間ずっと彼女は俺を優しく抱きしめてくれた。




数分泣いた俺は泣き疲れて泣くのを止めた。


彼女の顔を見上げると、満面の笑顔だった。


「炎怒くんがあたしの胸で…ハァハァ…」


彼女は息を荒くして興奮していたが、俺はそんな彼女の茶化す対応が嬉しかった。


茶化したのか本気なのかは分からないが、俺の心が凄く楽になった事に変わりはない。


「ありがとう、風音先生」


俺は彼女にお礼を言って、席に戻った。



放課後になり俺には用事があった。


「頼堂!」


探していた彼を見つけ、彼の名を呼ぶ。


「ん、成瀬くんか、どうしたの?」


彼は首を傾げながらそう聞いてきた。


「あのさ、この前言ってた、殺人鬼の名前って分かるか?」と俺は彼に聞いた。


「あぁ、確か『樋川(ひかわ) 異口(いく)』って名前だったはずだよ」と彼は答えた。


そうか、樋川か…


「そうか、サンキュー」と俺は言って、その場を去ろうと後ろを向いた。


その時「もしかして、復讐するつもり?」と後ろから彼は聞いてきた。


俺は振り返らず、こう答えた。


「俺を止めるな」と。


風音先生に『悲しみ』の感情は全てぶつけた。


俺に残っていたのは『怒り』だけだった。


「樋川… いや、殺人鬼のクソ野郎…」


俺はそいつにこの『怒り』をぶつける。


そう誓って、その場を去った。



以上で炎怒編の前編が終わりとなります。次回からは主人公が変わり、飛華流編となります。

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