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家電戦争 《Appliance War》  作者: 黒川 想流
炎怒編 (前編)
12/26

12話 過去と今

頼堂の過去が明らかに。

気が付くと俺は病院のベッドで寝ていた。


「あれ、ここは…?」と思うと同時に身体の全身が痛み、更に左手が猛烈に痛む。


驚いて見ると左手は丸く包帯に包まれて、左手が動く感覚は無かった。


「良かった、いつもの炎怒くんだ…」と右から声が聞こえて、そちらを見る。


そこには風音先生が少し涙目で俺を見ていた。


「風音先生…? ここは一体…?」と俺は風音先生なら分かるかと思って聞いた。


「何も覚えてないの?」と不思議そうに彼女は聞き返してきた。


「頼堂にあって…から…どうなったんだっけ…」


頼堂に会った瞬間からの記憶が無かった。


俺はあの後どうなったんだ…


思い出そうと必死になっていると、左の方から「覚えてないの…」と声が聞こえた。


その声がする方を見るとすぐ横でベッドに、寝そべっている黄色い髪の少年の姿があった。


「お前は… 頼堂…?」


確か、この姿の少年に近付いた。


「お前何でここに…?」と俺は気になった事を素直に聞いた。


「ふん… そこに居る『先生』とやらから聞けば…?」と頼堂は捻くれたように言ってきた。


俺はその通りに風音先生から聞こうと、風音先生の方を向いた。


「炎怒くんは彼と戦ったのよ… 炎怒くんが言ってる記憶が無い間にね…」


俺の記憶が無い間に俺が戦っていた…?


どういうことだよ…!? そんな事ありえんのか…?


「炎怒くんってもしかして二重人格…?」と風音先生は俺の顔を覗き込むように聞いてきた。


「二重人格…?」


言われて見ると、今までにも同じような事があった。


子供の頃にガキ大将のような奴と喧嘩したら、自分はやった記憶が無かったりした。


それと同じ事態なのか…?


「そうなのかも…しれません」と俺は考えながらそう返した。


その時、風音先生を見て思い出した。


『先生なんて死ねばいいんだァァァ!!』と頼堂が叫んでいた瞬間を。


「あっ、そういえば頼堂… お前先生なんて死ねばいいとか言って無かったか?」と俺は頼堂の方を見て聞く。


その時、風音先生は肩をビクっと震わせていた。


「あぁ… 先生なんて死ねばいいんだよ…」


彼はあの時のような怒りではなく呆れたように、そう言ってきた。


風音先生は顔が少しずつ青褪めていった。


「なんでそんな先生が嫌いなんだ?」と俺は頼堂の事情を知りたかったからそう聞いた。


戦って仲の悪いままじゃ嫌だからな…


「それは…




「おい!気持ち悪ぃなお前!」


「近付くなよ!気持ち悪ぃ!」


僕は地面に寝そべっていた。


そして僕の周りを複数人の男子が囲んでいた。


彼らは僕に追い打ちをかけるように蹴っていた。


僕をサッカーボールだと思っているんだろうか。


これは俗に言ういじめだろう。


彼らに僕は何か悪い事をしたんだろうか。


それなら謝るが、彼らは『気持ち悪い』としか言ってこない。


そんなの僕にはどうしようもない。


だから黙って彼らの気が済むまで蹴られていた。


いつか誰かが助けてくれるかもしれない。


そういう期待もしながら。


そんな時、目の前を担任の教師が通った。


蹴られていたけど、その先生と僕は目が合った。


凄く嬉しかった。 一気に安心した。


けど、そんな思いは一瞬で消え去った。


その先生は目が合ったにも関わらず、すぐに目を逸らして、真っ直ぐ歩いて行った。


何で…? 僕は先生の事を信じてたのに…


先…生…なんて…



『死んでしまえばいいんだ…』





って事があって…それ以来、僕は先生という存在が嫌いなんだ…」


彼は悲しそうな顔をしながらも全てを語ってくれた。


「そうか…」


俺にはそんな経験はない。 だから同情をしようにも出来なかった。


けど言える事があった。


「風音先生なら大丈夫だぜ」


そう言うと頼堂と風音先生は2人とも目を丸くして、俺の方を見ていた。


「風音先生はお前を見捨てたりしない。根拠はないけどさ、そんな事はしないと思うぜ。俺達は同じ能力を持つ仲間なんだからさ」


そう俺は彼に言った。


すると風音先生はすぐに間に入ってきた。


「正直、あたしは頼堂くんが怖かった。でも、あたしはそんな先生と一緒の事はしない。君に何かあったら必ず助けるよ。約束する」


と風音先生は頼堂のほうを見て言った。


「本当に…?」と頼堂は顔を上げ風音先生の方を見て聞いた。


「もちろん… 先生としてだけじゃなく仲間だから」


そう風音先生は頼堂を見て言った。


「まあ、言葉だけなら何とでも言えるだろうからさ、これから行動で示すよ。それからでもいいから、俺達の事を少しは信用してくれると助かるよ」


そう俺は彼に言って、上を向いて目を閉じた。


「分かった… 君達の事は信じるよ…」


そう頼堂は言って、一息ついていた。



「そういえば、聞きたかったんだけどさ」


俺は少しの静寂をそう切り裂いた。


2人は俺の顔を見ていた。


「頼堂は何であんな武器持ってたんだ?」


俺は頼堂と話している内に彼の武器で、俺の左手が切り落とされた事を思い出した。


だが、その件について文句は無かった。


彼にも事情があった。そう考えると文句は言えなかった。


そもそも誰かと戦う予定だったのか?


そう気になって彼にその質問をぶつけた。


「あれは… 護身用だよ」


「護身って…あれじゃお前が加害者にならないか?」


あんな物使われたらその辺の強盗とか、泣いて逃げるレベルだろ…?


「君は知らないのか? 最近出回ってる殺人鬼の事」


「殺人鬼? そんな物騒な事があったのか?」


能力の事を考えすぎていたからか、最近の世間のニュースを知らなかった。


「なにやら、そいつは人を凍らせるらしいんだ」


そう聞いた瞬間、俺は驚いた。


「能力者なのか…!?」


「らしいよ」


まさか、今のところ俺達は犯罪者なんかじゃなかったが、もうこの力でそんな事をしている奴が居たなんて。


そしてそれと同時に俺は一つ不安になった。


「涼… 今あいつ何してんだ…?」


それは大切な一人の親友の事だった。



次回は涼sideです。炎怒が頼堂と戦っている間、涼は何をしていたのか…

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