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家電戦争 《Appliance War》  作者: 黒川 想流
炎怒編 (前編)
10/26

10話 本当の自分

ここからが本番ですよ。

放課後になり、風音先生は仕事と偽り、俺と一緒にその不登校の少年の家へ向かう。


涼は別の用事があるらしく来ていない。


「やっと2人きりだね…!」と風音先生はいきなり腕を組んでくる。


俺は溜め息しか出なかった。


教師と生徒が腕を組んでいる、こんな状況を見られたらどうなるんだ…と思ったが、彼女の見た目の事をすっかり忘れていた。


ただの高校生カップルにしか見えないんだろう…


そう気付くともう引き剥がす気は起きなかった。


そもそも嫌な訳ではないし…


そうしている内に不登校の少年が住んでいる家に着いた。


俺はそこで念の為、風音先生を引き剥がし、その家のインターホンを鳴らす。


押してすぐに「はーい」と女性の声が聞こえた。


ガチャっとドアが開くと、そこから出てきたのは、30代くらいの小母さんだった。


「あの、翔太くんに会いに来たんですけど」


俺は迷うことなくそう言った。


するとその小母さんは「あー、翔太ならさっき出掛けたみたいで…」と行き先を考えてるようにそう言ってきた。


「分かりました」と俺はすんなり言って軽く頭を下げ、その場を去った。



居ないとなるとどうしようも無いな…


探すにしても手がかりは無いし…


いや、あるとすれば異常な髪色か…


しかし、それだけじゃ探すのはな…


「ねぇ、すぐそこに自販機あるし何か飲む?」と風音先生は自動販売機の方を指差しそう言った。


「そうしますか…」


ここなら彼が家に戻ってきたら分かるし、ちょうどいいかな。



「何飲む?」と風音先生は財布を取り出し、俺に聞いてきた。


「お茶でお願いします」


「じゃあたしはアクウェリアスー」


お金を入れつつ彼女はそう言ってお茶とそのスポーツドリンクの買うボタンを押した。


ガシャンガシャンとその二つが落ちる音がした。


ってか何気に奢ってくれてるな。


こういう所は本当優しいんだけどな。


「はい! あたしの愛情たっぷりのお茶!」と彼女は先に俺の欲しかったお茶を取り出し、両手で渡してきながらそう言った。


「買っただけですけどね、ありがとうございます」とツッコミと一緒にお礼を言うのを忘れない。


喉が渇いていた俺はすぐに蓋を開けて、お茶を一口飲む。飲んで一息ついて俺は蓋を閉めた。


彼女もそのスポーツドリンクの蓋を開けて、一口飲む。 ちょっとエロい目で見てしまったのは、何があっても言えないな。


「じろじろ見てどうしたの?」と飲んでる途中に俺の方を見た彼女は、俺の視線に気付いて、そう聞いてきた。


「いっ、いや何でもないです」


ちょっと気付かれてしまった事に動揺してしまう。


「あ、もしかして、あたしの間接キスが欲しい…?」


お、珍しく俺の考えを外した。


「いや、そんなんじゃないですよ」と今回は思っていたことがバレてなくて俺は少し安心してそう返した。


「飲みたかったら遠慮しないでいいんだよー?」と彼女はそのスポーツドリンクを俺の顔に押し付けてくる。


「いいですって…」と言っても押し付けてくる。が、急にその押し付ける力は弱くなった。


気になって彼女の顔を見てみると彼女は遠くを見ていた。


俺もその方向を見てみると、そこには黄色い髪の少年が歩いていた。


その少年は何か棒状の物を持っていた。


「もしかしてあれかな?」と彼女は聞いてきた。


「そうだと思いますよ、あの髪色的に…」


黄色の髪なんてあまり居ないだろう。


それだけを根拠に俺達は彼の元へ向かった。



走って、彼の元へ向かっていると、彼は俺達が自分に用があると気付いたのだろう。


その場に立ち止まっていた。


彼は前髪で片目が見えない感じの髪型だった。


これは偏見だが、こういう髪型が好きな人は怪しい。


その時、彼はその細い棒のような物を足に重なって見えないように後ろに隠していた。


「あのさ、頼堂 翔太くんだよね?」と風音先生は近付いて聞く。


「そうですけど…」とその少年は小声で返す。


「えーと、あたしは、君が通ってる○×高校の先生なんだけど…」と彼女は自分の身分を名乗っていた。


確かに同じ高校の人だと分かれば安全だろう…


しかし、そうはいかなかった。


彼は「先…生…?」と呟く。


俺は一瞬で、彼の顔が強張ったことに気付いた。


「危ないっ!!」


俺がそう言ったと同時に黄色い髪の彼は隠し持っていたその棒のような物で風音先生に、殴りかかっていた。


「先生なんて死ねばいいんだァァァ!!」と叫びながら。


俺は左手を咄嗟に風音先生の前に出していた。


見事に俺の左手の手首にその棒は直撃した。


しかし、その瞬間俺は驚愕した。


彼が持っていたのは棒なんかじゃなかった。


俺の手首に当たったのは、チェーンソーの刃だった。


やばいと思ったが、もう遅かった。


そのチェーンソーはバッテリーなどがついているようには見えなかったが物凄いモーター音と共にその刃は回転した。


一瞬で俺の手首の骨までその刃は到達した。


「うわああぁぁぁぁぁぁあああ!!」と俺は叫んだ。どうしようも無かったからだ。


でも、その時も俺は冷静に考えていた。


あの刃が回転したって事は電気を操っているんだ…


それがその一瞬で分かった。


だが、それが分かっても何も出来なかった。


数秒もしない内にその刃は俺の手を切り落とした。


「いってぇええええええええええ!!!」


俺は断面が見える左腕を押さえて、叫んだ。


物凄い勢いで血が吹き出していた。


「炎怒…くん…!」


風音先生は俺の後ろでそう呟いた。


その声は怒りと悲しみの混じった声だった。


「テメェ…! あたしの炎怒に…!」と風音がそこまで言った時だった。


炎怒は風音を止めるように、右腕を伸ばした。


「風音… テメェは下がってろ」


彼女は怒りの頂点に達していたが、呼び捨てで呼ばれた事に驚き、その怒りを忘れていた。


「炎怒くん…?」


炎怒の顔はいつもと違った。


いつもは優しそうな顔をしているが、今の炎怒は人を殺す目をしていた。


炎怒は自分の左手を炎で覆って血を止めていた。


「おいクソ野郎… かかってこいよ…」


炎怒はそう言って右手の人差し指で挑発していた。


汚い言葉遣い… そしてこの風貌…


今の炎怒はまるで別人だった。



次回は真・炎怒と頼堂 翔太の戦いです。

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