表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Javaで学ぶ魔法入門  作者: つむらてんほ
第二章 ジョージ始動編
9/64

プロローグ

ここからが本番。

 少女は必死に走っていた。

 追いつかれて捕まったらどうなるのか、話には聞いている。

 女としての尊厳を失い、命まで失う。

 だから、少女は走っていた。

 100メートルほど後方、十人ほどの者が少女を追っていた。

 その顔には余裕があった。

 明らかに楽しんでいるのだ、この鬼ごっこを。


 息は切れ、心臓は激しい音を立てている、脇腹も痛みを訴え、足も悲鳴を上げている。

 それでも止まるわけにはいかなかった。

 絶望的な状況というのは理解していたが、それでも少しでも村に近づけば、あるいは村人が見つけてくれるかもしれないのだ。

 そんな、僅かな希望にかけて、ただ走る。


(こんなこと今までなかったのに!)

 そう、彼女はいつもどおりに行動しただけだった。

 いつもどおり村を出て、いつもどおり草原で薬草---病気の母のための---を集めていた、それだけだったのに、気づけば近くに宿敵の姿があったのだ。

 少女は決して足が遅い方ではない。

 むしろ、駆けっこでは同世代の誰よりも速かった。

 それでも大人とでは歩幅が違う。

 走っても走っても差はつかない、いや、わざと同じ差で追いかけてきていることにも気づいてはいた。


「あっ」

 痛恨のミス。

 後ろを気にするあまり、注意がおろそかになっていたのだろう、草むらの何かに躓き、少女は転んでしまった。

 激しく転倒した拍子に膝を打ったのか、立ちたくても立てない。

 村まではまだまだ距離がある。

 少女の目から流れた涙は痛みによるものか、それとも絶望によるものか。


「んー?人か?」

 少女が躓いたもの、それが立ち上がった。

 それは野獣、いや、人のようだ。

 ぼさぼさの黒い髪は胸まであり、髭も伸び放題に伸び、上半身は裸で日に焼けて黒く、身に着けている服は腰に巻いている恐らく獣の皮で作った布だけ、その手にはタイトルも読めないほどボロボロになった本、そんな出で立ちの男だった。

 男は少女のほうを見ると

「きつね!!」

 そう叫んで、少女に襲い掛かり…………もふもふしだした。

「ひゃぁぁぁぁ」

 狐族(・・)の少女は、ふさふさの耳を、ふさふさの首を、ふさふさの尻尾をもふられ、悲鳴を上げる。

「ちょ、ちょっと、だ、だめ、あーーー」

 男のもふりテクニックに翻弄される少女が、ついにぴくぴくと痙攣しだしたところで、男の手が止まった。

「あ、すまん。実家(倶知安)によく来てたキタキツネ(ゴン)を思い出して、ついやりすぎた。ほんと申し訳ない」

 男が両手を合わせて平謝る。

 そして、後ろを振り向いて言った。

「で、あんたらは?見た目からして仲間じゃなさそうだな」

 そこには少女を追いかけていた狸族・・の男たちが居た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ