最終章エピローグ
「世話になったな」
朝日が眩しいハイノウンの港エリア、大堤防の先にジョージは立っていた。
「寂しくなるね」
見送るのはフリント、マーロック、メリッサ、ゴフランといったジョージとの付き合いのあった人々。
”†きらめき†”のメンバーも居るが、その場のメンバーの豪華さに引き気味であった。
「安心するですの。ボクが居る限り、ジョージは大丈夫ですの」
ジョージの横にはPGの姿があった。
確かにPGの中には大量の食糧だけでなく、小型の船すら入っているのだ、PGが居れば旅をする上では心配はないだろう。
それにしても、なぜPGは無事なのだろうか。
Creatureは完全石化さえしていなければ負のEarthElementの付与でその付属品ごと解呪できるのだが、完全石化してしまえばCreatureではなくObjectとなるため解呪はできない。
そしてPGは魔道具であるが、ObjectとしてはCreatureとなっており、完全石化していなければ解呪できるのだが、あの戦いでPGはゴーゴンの石化を食らったはずなのだ。
実はとある手段により完全石化を防いでいたのだ。
その手段とは”絶対領域”である。
PGの固有能力”絶対領域”は、体の特定部位を視認できなくする(CF:閑話「PG、4つ目の能力」)。
ゴーゴン戦でジョージの盾となったPGは、自らのスカートを捲ることでゴーゴンが特定部位を視認することを防ぎ、完全石化を免れたのだった。
「そうだ、お別れの挨拶をしないとな。PG頼む!」
PGが両手をかざすと、それが出現した。
完全石化したイザリーだ。
完全石化してしまえばCreatureではなくObjectとなるためPGの中に格納できる。
そして、それは同時に解呪できないということでもあった。
ジョージは、イザリーの頭に手を置く。
もちろん硬い石の感触しかないが、それでもイザリーの頭を愛おしそうに撫でる。
見送りの中からすすり泣く声が聞こえるが、ジョージの顔に曇りはなく、
「俺は、必ずイザリーを元通りにしてみせる。必ずだ」
と淡々と語る。
PGの情報によると、かつて完全石化から復帰した例が存在するらしい。
ただし、そのためには測定不能ランクモンスター、エンシェントドラゴンの魔石が必要であったという。
かつてカーガの守り神であったエンシェントドラゴンは既になく、PGのわかっている限りでは平均でもA+ランクの魔物が跋扈する南の魔大陸に生息しているらしい。
そんな危険な魔大陸の、しかもエンシェントドラゴンを倒すという行為に挑むジョージなのだが、そこに不安はない。
イザリーを元に戻すまで死ぬわけにはいかない、いや、死ねるわけがないのだから。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
見送る者を代表して、マーロックがジョージと握手した。
その間にPGがイザリーを仕舞う。
ジョージは海を向く。
もう振り返るつもりはない。
「java AirHold,java」
いつもの癖で二度唱えそうになったAirHoldを飲み込み、もはや握る者のいない左手を一瞬だけ見て、いつものように右手を前に突き出すと唱える。
「Fly」
ジョージが飛んだ。
呪文を唱えるたびにジョージは加速していく。
ジョージの姿が豆粒のように小さくなり、そして見えなくなるまで、いや見えなくなっても、その場を去る者はいなかった。
もう一話だけ続きます




