死闘1
『離れて!』
PGの声で我に返った二人は、指示に従って怪物からさらに距離を取る。
召喚酔いだろうか動かなかった怪物は、それが収まったのか、ゆっくりと二人を見据える。
青い体の下半身は大蛇。
上半身は女性だが、その髪は百の蛇。
『まずいですのまずいですの。ゴーゴン、魔神の片腕…………』
PGの声は震えていた。
「java MagicMissile」
ジョージが牽制のMagicMissileを放つと、ゴーゴンは邪悪な笑みを浮かべ、そしてMagicMissileは石化して堕ちた。
「なにっ!?」
予想外の結果に驚愕するジョージ。
『ゴーゴンは視認した30メートル範囲内の全てを石化しますの』
「魔法まで石化するのかよ!」
『例外はありませんの』
「java Blindness」
視認する全てなら、と放ったジョージの目潰し魔法はだがレジストされた。
「どうやって倒すんだこんな化け物!」
ゴーゴンが一歩這いずりよる分だけ、ジョージとイザリーは一歩下がり、範囲から逃れる。
「PGさん、石化は土魔法ですよね?」
『そうですの。風魔法はキャンセルされる可能性が高いですの』
「なら!」
PGに確認したイザリーは愛刀を構える。
「イザリー、超加速はキャンセルされる!一度引こう!」
「ミウラーさま、これ以上は引けないようです」
「え?」
ゴーゴンに合わせて一歩引いたジョージは背中に何かが当たるのを感じた。
「結界か!」
そう、入る時には抜けられた結界が、出るときは抜けられない。
『魔道具で張られた結界は術者しか解除できませんの。術者がアレだと…………』
解除できるグランデは既に屍となっている。
『効果時間が切れるまで維持されますの』
「詰んでるのはこっちかよ!」
「いいえ、まだ方法はあります!ミウラーさま、もしこれで倒せなかったら、結界が切れるまで逃げてくださいね」
「何をする気だ、イザリー!」
イザリーは愛刀を構え、そしてゴーゴンの石化範囲に飛び込んだ。
その瞬間、イザリーの首から茶色い光が放たれ、イザリーは石化しない。
イザリーの首につけられたチョーカー。
それは30秒間の土属性完全無効化(CF:閑話「マリークリスマス」)。
ゴーゴンの石化攻撃ですら、例外ではなかった。
イザリーはゴーゴンまでの40メートルほどを一気に走り抜ける。
超加速の効果が無いため、いつもの速度は出ないが、それでも石化された草むらを10秒で走り抜けた。
残り20秒。
イザリーの一太刀目は、ゴーゴンの左腕を切り落とすが、同時に放たれた右腕の攻撃に吹き飛ばされる。
残り15秒。
再度接近したイザリーはだが、ゴーゴンの右腕と尻尾による複合攻撃を裁ききれず、再度弾き飛ばされる。
「戻れ、戻るんだイザリー!」
立ち上がったイザリーは満身創痍。
その背中は擦りむけて血に染まるが、まだ諦めていない。
残り5秒。
足を引きずりながら近づいたイザリーに、再度ゴーゴンの二連続攻撃が迫る。
右腕を受け流し。
そして、尻尾も受け流し。
一度も行ったことのない、二連続受け流しに成功したイザリーは態勢の崩れたゴーゴンに迫る。
「やーっ!!!」
残り2秒。
イザリーの愛刀がゴーゴンの首筋を捉え、残心。
血しぶきを上げて、ゴーゴンの首が落ちた。
「イザリー!」
「やりました!やりましたよ!ジョージさ」
イザリーの声は途中で止まった。
イザリーの体は灰色に染まっていた。
首だけとなったゴーゴンが蛇の髪を巧みに用いて起き上がると変わらぬ邪悪な笑みを浮かべて石化したイザリーを見つめていた。




