領略!PG迷宮
青いパーカーに青いミニスカ、紺ニーソに青いブーツ、短かく切りそろえられた青い髪。
全身青づくめの、10歳程度にしか見えない少女。
まるで西洋人形のように整った顔はだが、そこに一切の感情が感じられない、張り付けたような笑顔を浮かべている。
「お前は…………何者だ?」
「ボクはPG。ボクがPG。全ての見聞を集めるものですの」
「なるほど、わからん。てか、ボクっ子かよ。いや待て、確かに恰好は女の子だが、もしかして男の娘…………」
「ボクはれっきとした女子!女子だから!千年以上生きてても女子だから!」
少女の張り付けたような笑みが消える。
「ロリバb「違う!違わないけど違う!その枠じゃない!枠の意味はボクもわからないけど違う!」」
大声を上げたせいか、肩で息をするPG。
「あーもう。なんなの君は。うちの大事な迷宮を水浸しにして、意味わからない方法で攻略するし、こうして興味を示して出てくればボクを怒らせるようなことばかり言って」
「そうやって感情を見せてる顔の方がかわいいぞ」
「うーーーーーっ!」
PGの顔は怒りからか照れからか、真っ赤である。
「お前、”ボクっ子”、”ですの”、”ニーソ”、”ロリBBA”ときて、その上”クーデレ”とか属性盛りこみすぎだろ!」
「違う!」
意味のない会話で時間を稼ぎながらジョージは悩んでいた。
PG迷宮は放置するわけにはいかない。
だが、たとえそれが人外の存在だったとしても、少女にしか見えないPGを殺すのに躊躇してしまう甘さがジョージにはあった。
「で、お前はどこまで知っているんだ?」
「そうね、この世の全て、と言いたいところだけど、残念なことに世界に影響を与えるような大きな事柄しか集めきれないですの。ボクだってそこまで無限じゃないですの」
「俺の転移はそれだけの事柄だったということか」
「そうですの。だってボクが知っている限り”転移者”は2人しかいないのだから」
「俺以外にも転移者が居たのか」
「今から千年ほど前の話ですの。この世界で、静的なものとして継承だけしていた魔法を整理し、拡張し、一般化した転移者がいたですの。彼女はマリアンヌと呼ばれていたですの」
「またマリーたんかよ!」
ジョージは驚愕した。
「で、ジョージは結論出ましたですの?」
「なんのだ?」
「わかってるですの、ボクと戦うか悩んでることは。だってボクはPGだから」
「なあ、聞きたいんだが、お前を倒さずにPG迷宮を消すことはできないのか?」
「この珠…………迷宮核が壊されれば魔力が補充されなくなるから、いつかは消えるでしょうけど、転移門の魔力切れまで200年、迷宮が風化するまでは何年かかるかしら。それまでPG迷宮は転移もせずにここにあり続けるですの。PG迷宮を消すためにはボクを倒すしかないですの」
「…………そうか、じゃあ」
ジョージの心の葛藤はだが、ハイノウンで暮らす人々と少女を天秤にかけ、ついに結論を出した。
もはや先ほどの軽口を叩いていたジョージは居ない。
そこに居るのは覚悟を決めた男だった。
「ボクと戦う決心がついたですの?」
「ああ」
「そう。じゃあ………………」
PGは言った。
「ボクは降参するですの」
「へ?」
「ジョージ、まさかボクごときがジョージを相手にして勝てるとでも思ってましたの?だとしたらお笑いですの。身の程を知りなさいなの。さあ降参したですの。無抵抗ですの。煮るなり焼くなり好きにすればいいですの。でもできれば痛くしないでほしいですの」
そう言ってPGは両手両端を広げて床に仰向けになるのだった。




