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Javaで学ぶ魔法入門  作者: つむらてんほ
第五章 PG迷宮編
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攻略!PG迷宮

 ジョージは布団の上に寝そべって、寛いでいた。

 その側には衣服の乱れ、しょう然としたイザリーがぺたんこ座りで座っていた。

 その目は虚ろで、瞳には光が差さず、いつもはピンと立っている自慢の尻尾も、だらしなく垂れていた。


 二人がいるのはPG迷宮を驀進中の乗り物()の中である。

 その船の形状は、ガラス球状の金魚鉢を想像すればわかりやすい。

 ガタン、という激しい音と共に船が水と共に滑り落ちる。

 また一つ階層を下ったのだ。

 船の外壁は強化水晶でできており、階段を下り落ちた程度では傷もつかない。

 また、ジョージとイザリーには空気固定(AirHold)の魔法がかけられており、植木鉢から振り落とされる心配もなかった。

 それでも振動は伝わるため、クッション材として布団を敷く念の入れようだ。

「java MudMissile」

 ジョージの詠唱で、水と土の二重属性を持つMagicMissileが、天井に張り付いていた火蝙蝠()を射落とした。

 イザリーは相変わらずしょう然としたままである。

 現在、恐らく127階層。

 ここまで来る間、この怪しい乗り物で幾度となく迷宮内の川下りと滝下りを繰り返した。

 ジョージは(行ったことがないが)前世での夢の国の雷山アトラクションのようだとはしゃぎ、そのうち慣れ、飽きて寛ぎだした。

 イザリーは、最初から恐怖のあまり泣き叫び、(服が乱れるほど)暴れ、力尽きて現在に至る。

 ただ、本来はこの船に乗るのはジョージ一人の予定だったのを

「魔法が効かない何かがあったらどうするんですか!」

と言って強引に同乗したのはイザリー本人であり、ある意味自業自得である。


「ほら、イザリー、あと少しでおしまいだぞ」

 ジョージが話しかけるも、尻尾をもふられても反応しないくらい疲れ切っていたイザリーは無反応である。

 ガタン。

 また1つ階層を下った。

 ここまでにかかった時間は、Statusの魔法に追加したタイマー機能によると4時間程度。

 先に投げ込んだ小型の同型無人船が4時間程度で第一階層に転移したことから、PG迷宮の底はここ、128階層で間違いないだろう。

 水は低きに流れるというのは、この世界でも当然である。

 下への階段があれば、そちらに水が流れ込み、行き止まりなどからは水が引く。

 よって、ジョージたちはPG迷宮の最短攻略ルートを、しかも時速30キロ程度で辿っているのだが、それでも128階層に4時間かかっているということは、1階層あたりの平均攻略最短距離は1キロメートル程度ということになり、PG迷宮がどれほど広いのかがわかる。


 最後の階層に入って2分ほど経ったときである。

 船はついに最後の部屋へと進み、そこに描かれた転移門に突入した。


「来たぞ!」

「java StoneWall!」

「java Fly」

 1階で待ち構えていた魔法使いが、転移した船を石の壁で止めたのを確認するとジョージはイザリーの首根っこを掴んでFlyを唱えて船から降り立った。

 周りから歓声が上がるが、ジョージは険しい顔のまま、イザリーを手近な女戦士に渡すと言った。

「イザリーを頼む。俺は最後の敵(ラスボス)を倒してくる」

「え?」


 周りの者が唖然としているのを尻目に、ジョージは単独転移門に立った。

 魔法一覧のように、階層一覧が表示されるが、そこには当然『128階層』の文字しかない。

 ジョージがそれを選択すると、一瞬で128階層へと転移する。


「さて。お前がラスボスか?」

「そうですのよ、”転移者”ジョージ・ミウラ。三浦譲二と呼んだほうがいいかしら?」

 転移門のさらに先。

 掌上で水晶玉を弄びながら悠然と微笑む、青い髪の少女が言った。


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