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Javaで学ぶ魔法入門  作者: つむらてんほ
第五章 PG迷宮編
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前略!PG迷宮

タイトルが変な理由は、次の話でわかります。

「さて、集まって貰ったのはほかでもない。ハイノウン近くに出現したPG迷宮(ダンジョン)についてじゃ」

 ここはハイノウンギルドの大会議室、とは言えども、そこに30名ほどの冒険者が集められていれば、座る余裕はなく、全員が立ったままだ。

 集められた彼らは現在ハイノウンに居るCランク以上の冒険者全員である。

 思ったよりも数が少ないのは、ハイノウンが周りが比較的安全な首都であり、辺境とは異なりそれほど危険なモンスターが生息しておらず、また常に三つの騎士団が常駐しているためであり、最高ランク保持者もB+であったりする。

 ギルドマスターゴフランの言葉に、そのうち半数ほどの冒険者が息を飲む。

「ふむ、PG迷宮について知っている者が半数いるとは、優秀だのぉ」

 ゴフランの言葉が嫌味なのか本心なのかわからないため、冒険者たちは黙って次の言葉を待つ。

「PG迷宮とは、その存在が千年以上前から知られている未踏破迷宮じゃ」

「な!」

 幾人かの冒険者が驚愕の表情を見せた。

「そもそも迷宮ダンジョンとは何かから説明する必要があるじゃろ。ハイノウン近くに迷宮はないから知らない冒険者が居てもおかしくはないのでな。実は迷宮がどうして誕生するのか、その過程はわかっておらん。現在わかっていることは何らかの理由で地下に迷宮核が発生し、その核を中心に迷宮が生まれ、育つ、ということだけじゃ。おかげで迷宮は一種の生命体なのではないかとも言われておる。迷宮は放置すれば巨大化、複雑化するため、発見次第その核を破壊するのが世の常。もっとも辺境にはわざと核を残した状態にし迷宮潜りを町おこしに利用する都市もあるんじゃが」

 さすがに迷宮に関する初歩的な知識だけに、知らないものは数名しかいない。

 もちろんジョージはその知らない者に含まれているのだが。

「さて、PG迷宮じゃ。最初にPG迷宮が確認されたのは、先ほど言ったように千年以上前。大魔導師マリアンヌは、このPG迷宮を踏破するために魔法体系を整えたとも言われておる。PG迷宮が未踏破迷宮となっている理由。その1つはPG迷宮が50年で転移すること。最後にPG迷宮が確認されたのは51年前。その後どこかへ転移し、先日ハイノウン近くに再転位したようじゃ。そしてもう1つ。PG迷宮には転移門がないのじゃ」

 PG迷宮を知っている者でも、転移門が無いことは知らなかったものが多かったのだろう。

 冒険者たちの大部分がざわついていた。

「知ってのとおり転移門は迷宮によって何階層ごとかは異なれど必ず備わっている仕組みじゃ。その原理は迷宮と同様不明じゃが、迷宮は転移門を通れば階層飛びができ、たとえば8階の転移門に辿りついた冒険者は転移門を通ることで迷宮の入り口に戻ることができるし、また入口の転移門から8階に転移することができるようになるため、転移門を見つければ攻略が楽になるのじゃが、PG迷宮にはそれがない。正確に述べるならPG迷宮の入り口には転移門があるので、迷宮のどこかには転移門があるはずじゃ。ただ、少なくとも65階層まで転移門は確認されておらんのじゃ。転移門があるのはPG迷宮最下層であろうと言われておる」

 ここまでくると、ジョージを含めPG迷宮がどれほど危険で、どれほど困難な迷宮か理解できない冒険者はいない。

 なぜなら転移門がないというのは、エレベーターのないビルのようなものだからだ。

 すなわち65階層まで潜った者は65階層分上らないと帰って来れないということを意味する。

「そして、迷宮は1階層が2階層に、2階層が4階層にと倍に成長していくことが知られておる。よってPG迷宮の階層数は少なくとも128階層。確認されている迷宮で最大となる」

「それがPG迷宮である、と断定できる理由は?」

 今まで黙って話を聞いていた、落ち着いた雰囲気の剣士が問う。

 B+ランク冒険者、アーノルドだ。

「鑑定の結果、迷宮(Object)名が”PG”じゃった。そして言い伝えのとおり第一階層には火系モンスターのみが生息しておった」

「なるほど、承知した」

「PG迷宮は特級災害であり、しょせん低階層の弱いモンスターとはいえ次の転移までの50年間はPG迷宮から溢れ出たモンスターに対応する必要がある。よって、本日をもってハイノウン冒険者ギルドは緊急招集令を発動、Cランク以上の冒険者は騎士団と共に交代でPG迷宮の監視任務についてもらうことになる。他に何か質問は?」

「ちょっといいか」

 ジョージが手を挙げた。

「いいぞ」

「まず、今までわかっているPG迷宮のモンスターはどんなものがいるんだ」

「PG迷宮のモンスターは全て火系モンスターじゃ。少なくとも65階層までに火系でないモンスターは出ておらん」

「何か理由が?」

「これはPG迷宮の転移に関係するものと考えられとる。PG迷宮の転移先は不明じゃが、今まで何度か火山地帯への転移が確認されておるし、PG迷宮の入り口には溶岩が流れ込んだ跡もある。火系モンスター以外は生き残れなかったと考えられておる」

「なるほど、火系以外のモンスターは淘汰されたと。じゃあ次の質問だが、PG迷宮を攻略する際に、ルールや禁忌はあるのか」

「PG迷宮は特級災害じゃ、攻略できるのであれば、あらゆる手段を用いて構わん。じゃが記録によると今まで埋めることを含めて色々な手を打ったが全て失敗しておる」

「…………最後の質問だ。現場は見られるのか」

「今から現地で確認してもらうつもりじゃ。では行こうか」


 冒険者たちが、騎士団が監視していたPG迷宮についた。

 位置はハイノウンから1キロほど西の森の中だった。

 この距離はハイノウンから近すぎ、緊急招集令が出たのも納得である。

 延焼対策に周りの木は切り取られており、あたりは空き地と化しており、その中央にある、直径20メートルはあるだろう巨大な半球状の小山にこれまた巨大な入口があった。

 一行が中に入ると、半球内は1つのドーム状の部屋となっており、中央には転移門、手前には階段があった。


「地上はこれだけか。地下からが本番というわけだな」

 ジョージはニヤリと笑って言った。

「ハイノウンの近くに出現したのがPG迷宮のミスだな。さあ攻略しようか!」


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