プロローグ
暗闇の中で少女はただ待っていた。
いつか自分の元に辿り着く、その人が来る日まで。
最初の50年。
少女は辿り着いた者を祝福しようと思っていた。
しかし、誰も辿り着かなかった。
少女は恨んだ。
この世の全てを恨んだ。
そして、転移した。
次の50年。
少女は辿り着いた者を呪詛しようと思っていた。
しかし、誰も辿り着かなかった。
少女は儚んだ。
この世の全てを儚んだ。
そして、転移した。
さらに50年。
少女は辿り着いた者を憐れもうと思っていた。
しかし、誰も辿り着かなかった。
少女は諦めた。
この世の全てに諦めた。
そして、転移した。
さらに50年。
少女は数えるのをやめた。
いまだ、誰も辿り着かなかった。
そして、転移した。
何度も転移した。
千年を超す月日が流れた。
誰も辿り着かないこの迷宮の底に存在しるだけ。
それでも少女は居続けなければならなかった。
少女はこの世の全てを記録しなければならないのだから。
もし、そのことを少女に伝えることができたなら。
彼女はどんな表情を浮かべるのだろう。
喜びだろうか。
悲しみだろうか。
それとも、怒りだろうか。
君の元に奴が来る、と。
それは君の想うような方法ではないのだが…………。




